小説 裏通り

□幸せの日々 2
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彼女と食事を終え、風呂に入って、しばらく座談したあと

俺たちはそれぞれの布団で眠りについた


この2年間、彼女とセックスなんて1度もしていない

また彼女の心を壊してしまうかもしれないと思ったからだ

元はと言えば全部俺のせいだ…


愛おしすぎる彼女を犯したいという衝動を何度も我慢した

男としてはかなりキツかったが彼女の為だと、自分に言い聞かせた

でも俺は、彼女の事を心から愛している

だから明日プロポーズしようと思うんだ

四季(指輪も用意したし、絶対に成功するはずだよな、頑張ろう…)

俺は色々な事を想像した

彼女が泣いて喜んでくれる姿
笑ってくれる姿、照れてる姿

明日が楽しみで仕方がなかった
絶対に成功する−

自分にそう言い聞かせて、眠りについた


翌日−

俺達はそれぞれのバイトに行き
夜、ちょっと高めのレストランで待ち合わせする事にした


そして夜−

レストラン−

スターサイドホテル 24階

俺は1番夜景が綺麗に見える場所に席を取った

そして座って待っていたら彼女が来た

咲夜「四季君、おまたせ」

彼女はとてもキラキラしているスレンダーなドレスを着ていた
もともと美しい彼女が今日は数段美しく見えた

四季「さ、咲夜ちゃん…すっごく綺麗だ…」

咲夜「ふふっ…ありがと、お給料少しずつ貯めて買ったのよ」
四季「そっそっか〜…あ、座りなよ」

咲夜「うん、そうね」

彼女は椅子に座り、こう言った
咲夜「うわぁ…夜景が綺麗」

四季「まあね、ここのホテル夜景が綺麗な事で有名なんだよ」

咲夜「へぇ…そうなんだ…」


彼女はしばらく夜景に見とれていたがやがてこう言った

咲夜「あっ、四季君、私に話って何?」

四季「えっあっ…そうだったねっ!」

普通こういう所に女性を呼んで話があるといえば1つしかないはずだよな…

彼女の恋愛に関して鈍感な所は昔と全く変わってない

四季「あっあのね…、咲夜ちゃん」

俺は緊張で震えた手でバッグから婚約指輪を取り出し、テーブルに置いた

咲夜「こ、これって…」



四季「咲夜ちゃん」


四季「俺と結婚しよう」



俺は緊張を抑えプロポーズの言葉を言った


すると思ってもいなかった答えが返ってきた



咲夜「……四季君、ごめん」

四季「…え…?」

咲夜「これ…受け取れない…」


四季「…な…んで?」


咲夜「…私、他に好きな人がいるの…」


俺の中で何かが音を立てて崩れていった

四季「……は?」


咲夜「…四季君…本当にごめんね…」

彼女は泣いていた

そして彼女は次に優しい笑みを浮かべ、俺が1番聞きたくなかった言葉を発した




咲夜「四季君は私にとってずっと大切な親友だよ−」




プツンッ


四季「ざけんなっ!!!」

俺は思わずテーブルを思いっ切り叩いてしまった

他の客達は驚いた顔をしてこっちを見ていた

彼女は泣きながら怯えていた


彼女に怒鳴ったのは、子供の頃以来だった

俺は理性を取り戻した

四季「あ…ごめん…俺…」


咲夜「ご、ごめんなさい…」


彼女は泣いてレストランから出て行ってしまった


止める気力もなかった


本当は指輪を渡してプロポーズが成功したら、楽しく食事をしてこのホテルに泊まるはずだった…

もう全てがどうでもよくなった
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