薄桜鬼

□類友
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ぽかぽか陽気に誘われる様に、うつらうつらしていた白の耳に、不安気な恋人の声が入り込む

「……白ちゃん」

『総ちゃん? どうしたの?』

首を傾げて問えば、恋人―総司が抱き付いて来た




その腕は細かく震えている




『…どうしたの、何かあった?』

出来るだけ優しく声を掛ける、白の肩に顔を埋めている総司は気付かない



白がとてつもなく、恐ろしい形相をしていることに




「……僕…ストーカーされてるみたい…」




そいつ、殺す



白から滲み出る殺気に、教室に居る大半の生徒が、我先にと逃げていく

残ったのは平助と斉藤、煉だけだ

『大丈夫だよ、総ちゃんは心配しないで、俺達がどうにかするから、ね?』

『俺まで巻き込まn『あ゙?』へいへい、手伝いますよ〜』

鬼顔負けの睨みにケロッと返事をする煉、平助は自分が睨まれた訳でもないのに、若干涙目だ

『……総ちゃん、詳しく話せる?』

背中を擦りながら、優しく問い掛ける

「…無言電話と、ずっと…見られてる気がして…」

「……む、総司も見られている気がするのか?」

斉藤の言葉に、鬼が1人増えた

『総司も? ってことは、一もストーカーされてんのか?! 何で直ぐ言わねえ⁉』

煉に怒られ、しゅんとする斉藤、この二人もカップルだ

「…すまない」

『…………いや、怒鳴って悪かった』

『喧嘩してる場合じゃないでしょ、俺の総ちゃんがストーカーされてるんだよ⁉』

『…俺の一もな』

「…でもストーカーなんて、どうすんだよ、警察でも行くのか?」

この二人なら何がなんでも自分の手で見つけ出して、海にでも捨てて来そう

そんな事を考えながら、平助は巻き込まれませんように、と願う

『…けーさつ?』

『そんな生温いことしないよ?』

生温い⁉ 生温いのかよ!?

二人が恐ろしく、声に出せない平助は心の中で突っ込みをいれる

『俺の一を無断で見つめるなんざ、そいつの目ん玉抉ってやる』

『無言電話するくらいなら、その舌焼き切っても平気だよね』

『だったら耳もいらねぇな』

『そだね、ゴミの分際で俺等の天使に手を出すんだから、腕もいらないんじゃない?』

『なんで…「待て待て待った待った‼ お前等怖ぇよ‼」…なに、五月蠅いなぁ』

割って入った平助を、眉間に皺を寄せて見つめる二人

鬼の会話を止めるのは、さぞかし勇気が要ることだろう

「…僕、頭も要らないと思う」

「総司ぃ!?」

「…足も要らんと思うが」

「一君までっ!?」

せっかく割って入ったのに、俺の勇気返せ‼

意見があった事で、イチャコラし始めるバカップル二組を置いて、平助は教室を出る

目指すは恋人の腕の中!!

途中、やけに顔色の悪い人物を見掛けたが、平助は気にせず職員室のドアを開けた





END
2016.02.24
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