うらおもて【めだかボックス×戯言】
□第1章(黒宮くずは)
2ページ/6ページ
第2話「『やあ、』」
「『やあ、』『僕は球磨川禊』『君の名前は?』」
こいつ、判ってて訊いてやがる。
心の中で軽く舌打ち。
にしても、球磨川禊・・・何処かで。
「・・・知ってる癖に」
「『ああ、判っているさ』『勿論だよ』『なら何故訊くのかって?』『そんなの決まっているじゃないか』」
そこで球磨川は間を置く。
「『初対面の綺麗な女の子にはやっぱり』『例え名前を知っていても』『名乗って欲しいものじゃないか!』」
「いや、知るかそんなもん!」
はっ、
つい突っ込んでしまった。
こいつ、誰かに・・・。
その時、殺した鏡のことが脳裏にフラッシュバックする。
・・・・・・。
「『それで、』『君の名前は?』」
「・・・。黒宮、くずはだ」
折れてしまった。
「『くずはちゃんか』『いい名前だね』」
そして球磨川は「『それにしても』」と続ける。
「『確かに初めての人にあって緊張しちゃうのは分からないでもないけど』『命の恩人を睨み付けるのはどうかと思うよ?』」
・・・命の恩人?
「『あれ?その様子だと、』『覚えていない』『みたいだね』」
「『僕は行き倒れている君を発見してわざわざ保健室まで運んであげたというのに』」
行き倒れた?
病院の階段を踏み違えた記憶しかないのだが。
しかしそう言われてみればここは病室ではなく保健室のようだった。
「・・・」
何も言えない。
言えるわけがない。
反論が出てこない。
こんなときにあいつならペラペラ嘘や御託を並べまくるんだろうな、と
ふと、思った。
「『ともかく』『目が覚めたのなら良かったよ』『めだかちゃんと善吉ちゃんに報告しなきゃ』『あの二人』『無茶苦茶心配してたんだぜ?』」
「あああーーーーーーーーーーー!!」
思わず球磨川を指さし叫ぶ。
うっわ、うっわ、うっわー!
やっべぇ、何故今まで気付かなかったんだ俺!
球磨川禊、黒神めだか、人吉善吉。
めだかボックスのキャラクター。
「『・・・どうしたのくずはちゃん?』」
流石の球磨川もかなりビクッたらしい。
ざまぁみろ。
にしても、これって・・・。
「・・・トリップか?」
信じられない、と開いた両手を見つめながら、独り
呟いた。