短編

□喧嘩
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〜RENA〜

「玲奈ちゃんのケチ!!」

そう言って珠理奈が泣きながら部屋を出ていって からもうすぐ1時間。

未だに帰ってこない珠理奈が心配でなかなか寝ら れない。

ただ拗ねただけだと思うけど、もしかして私のこ と嫌いになっちゃったかな、なんてマイナスに考 えてしまう自分がいて、気が重い。

ことの発端は些細なこと。

「玲奈ちゃん…起きてる?」

「起きてるよ。どうしたの?」

もうすぐ高校2年生なのにまだ1人で寝られない 珠理奈。

どうしたの?なんて聞かなくても言いたいことは 大体分かる。

「あのさ…一緒に寝ていい?」

このセリフを私は何回聞いただろう。そろそろし っかり言わなきゃな…。

「もうすぐ高2なんだから、1人で寝なさい。」

「えーなんでよー!!いいじゃんかー」

「だーめ。珠理奈が寝るまで起きててあげるから 。ね?」

「いやだ!!玲奈ちゃんと一緒に寝る!!」

「いい加減にしなさい!そんなんじゃ大人になれ ないよ?」

「もう大人だもん!!」

「大人なら1人で寝られるでしょ?」

「…もういい!!麻里ちゃんと寝るから!!玲奈ちゃん のケチ!!」

目に溢れそうな位涙を貯めた珠理奈は、キッと私 を睨んでから部屋を出ていった。

ちょっと言い過ぎちゃったかな…

本当は私だって珠理奈と一緒に寝たい。

珠理奈が背中からギュッてしてくれるのが好きだ った。

でも、珠理奈の為だと自分に言い聞かせた。

*…*…*…*…*…*…*…*…*…* 〜JURINA〜

本当は麻里ちゃんの部屋に行くつもりなんてなか った。

部屋を出てから、私はホテルの屋上に向かった。

ひんやりとしたコンクリートの段差に座りながら 、頭のなかでさっきの玲奈ちゃんの言葉を繰り返 す。

玲奈ちゃんはきっと勘違いしている。

私は1人で寝られないから一緒に寝ていいか聞い たわけではないのに…

ただ、一緒に寝たかっただけなのに…

気づいたら私はまた泣いていた。

*…*…*…*…*…*…*…*…*…* 〜RENA〜

珠理奈はまだ帰ってこない。

本当に篠田さんのところにいるのだろうか…?

本当に行っているのならば、篠田さんに迷惑がか かってしまう。

とりあえず私は珠理奈を探すことにした。

マネージャーさんに篠田さんの部屋番号を教えて もらい、部屋を訪ねた。

扉の前にきたとき、突然扉があいた。

「うわっ!!…玲奈?どうしたの?」

「あっ…あの…珠理奈、いますか?」

「え?珠理奈?いないけど…何かあったの?」

「いえ…大丈夫です。ありがとうございます。」

篠田さんのところにいないとなるとどこにいるの だろう。

篠田さんの部屋を離れてからふと前を見ると屋上 へ続く階段があった。

もしかして…
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