短編

□風邪
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今何してるかな?ちゃんと寝てるかな?

珠理奈が体調不良って聞いてから落ち着かない。

すぐにまたあの笑顔を見せてくれるってわかって はいるけど、もしこのまま珠理奈が帰ってこなか ったら…

そう考えると落ち着いていられない。

メールしようかな…でも、珠理奈は体調悪くても 絶対返すから負担になっちゃうかも…

電話しようか…でも寝てたら可哀想だし…

…声…聞きたいな…

昨日の夜までずっと一緒にいたのに、もう珠理奈 のあの少し低くて心地良い声が恋しい。

電話…してみよう。

携帯を取りだし、珠理奈ばっかりの履歴から電話 をかける。

プルルルル…プルルルル…プルルルガチャ…

「も、もしもし珠理奈?」

「玲奈ちゃん…」

明らかに元気がない珠理奈。

結構重症かも…

「珠理奈、大丈夫?…じゃないよね…」

「…寂しい…寂しいよ…玲奈ちゃん…」

「え?お母さんは…?いないの?」

「今日は…お仕事だから…」

「そうなんだ…」

お母さんいないんだ…いくら大人びててもまだ高 校生だもんね…寂しいか…

「玲奈ちゃんに…会いたい…」

「え?会いたい?」

「…だめ?」

「あっ、ううん。いいよ、お仕事終わったら珠理 奈の家行くね。」

「えへへ…ありがと…」

電話の向こうで珠理奈が笑った。

私も自然に笑顔になる。

「じゃあ…またお仕事終わったら連絡するね?そ れまで寝てなきゃだめだよ?」

「うん…玲奈ちゃん電話してくれてありがと…ま た後でね」

「す、好きなひとが具合悪いんだから当たり前で しょ//じゃあばいばい」

「えへへ…私も好きだよ…ばいばい…」

〜お仕事終わり〜

「おつかれー!!」

いつも以上に早く楽屋を出て珠理奈に電話をかけ る。

「もしもし珠理奈?」

「玲奈ちゃん…えへへ…」

「今から向かうね?」

「うん…待ってるね…ありがと…」

「じゃあまた後で」

撮影現場からタクシーに乗り込み珠理奈の家を目 指す。

少し寝よう…

zzz

「お客さん、着きましたよー」

「!!あ、ありがとうございました!おいくらですか ?…」

会計を済ませてから珠理奈の家を見上げる。

…あ、珠理奈の部屋の電気ついてる。部屋にいる のかな…

そんなことを思いながらチャイムを押す。

ピンポーン…

ガチャ…

「玲奈ちゃん…」

「あっ珠理奈!大丈夫?とりあえずお邪魔しまー す…」

ふらつく珠理奈を支えながら部屋に向かう。

珠理奈をベットに座らせる。

「ずいぶん辛そうだね…」

「玲奈ちゃんが来てくれたから大丈夫…えへへ」

そういって、いつもより弱い力でギュッと抱き締 められた。

「あ…風邪うつっちゃ「いいよ…このままで…寂し かったでしょ?」

すぐに離れようとする珠理奈を引き止めて抱き締 める。

「玲奈ちゃん…寂しかった…玲奈ちゃんが来てく れて良かった…ありがとう」

珠理奈の微笑みを見てかっこいい…と思ってしま った。

「っ//」

「玲奈ちゃん…ちゅーしていい?」

「えっ!?そ、それはさすがに…」

「ねぇ…お願い…」

潤んだ目で上目遣いで頼まれたら断れない…

「ちょ、ちょっとだけだよ…?」

「やったー…じゃあ…チュッ」

「っ//」

それは触れるだけだったけど、私には十分だった 。

「玲奈ちゃん…顔真っ赤…ふふ、可愛い…」

「い、言わないでよ…っ//」

「えへへ…玲奈ちゃん大好き…」

「わ、私も好きだよ…//」

やっぱり私は珠理奈にはかなわない。

いつも珠理奈にドキドキさせられっぱなしだ。

もっともっと珠理奈を好きになった。
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