ぐほっ

□冗談から始まる恋
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「この色ヤダ。微妙。他のやつにしろよ」

「ウッセ!!黙って大人しくレ(俺)に塗られてろ!!!」


ここは美食會副料理長トミーロッドの自室。

そこに部屋の主たるトミーがいることはなんら違和感はないのだが、ふんぞり返るトミーの指に丹念にマニキュアを塗る、


「お前さあ、ホントにファッションとか気ぃ使ってるワケ?あーあ、美食四天王のサニーがこーんなダメダメくんだったとはネー」

「まえ(お前)マジうざい!うざさマックス!!消し飛べこのやろう!!!」


美食四天王サニーの姿が、異様だった。










2人が出会ったのは丁度2年前、第一ビオトープで倒れていたトミーを、偶然通りかかったサニーが見つけたことだった。

どういう経緯なのかは知らないが、ボロボロになって倒れている人間(多分)をサニーが見捨てられるはずもなく、取りあえずの応急処置を施した。


「__・・・ふう。ま、こんなモンだろ・・・。こいつもグルメ細胞持ってるみたいだし、死ぬことはあるまい・・・」

そう呟いて芝生の上に横たわった、まだ名も知らない人間の顔を覗き込む。


「(・・・しっかしコイツ、ホントに男なのか?胸はねーみたいだから男だと思ってたが、見れば見るほどわかんネ。化粧もしているカンジだし・・・髪だって、)っつお!?」


ショッキングピンクのきれいに切りそろえられていたのであろう髪は、今は血やら葉などが絡まって乱れているが、そんなことさえも忘れさせられる手触りだった。


「(んだコイツ!レよりもさらっさらな髪じゃねーか!!!ありえんほどのこの髪質___。ハンパねぇ!!)・・・ってうおぅ!?」


髪の毛をすくことに夢中になっていたが、下を見ると、既に開かれた黒い目と目が合った。


「・・・・・・なにしてんの」


当然の質問を投げかける男(おそらく)にむかってどもどりながらサニーは言葉を紡ぐ。


「に(なに)してん、だって・・・み、見てわかんねぇのか?」

「婦女暴行しようとしている変質者の図」

「れ(誰)が婦女暴行犯だ!!マエ(お前)それが命の恩人に言う言葉かって・・・え?まじ??」

「は?」

「まえ______やっぱ女なの?」

「殺す」


言った瞬間吐き気のする音と共にサニーに襲い掛かる蟲達。それに対して悲鳴を上げながら全てを叩き潰したサニーを頬杖をつきながら眺めるトミーの目は、
無邪気に昆虫の身体を引きちぎる子供のそれに酷似していた。


「っはあ、はあ、はあ・・・テメ!なにしやがんだあ!!!」

「あー、全部倒し終わったの?スゴイネー」

「全然感情のこもってねえ褒め言葉を言うのヤメロ!」


「ったく、助けて損した。帰る!」と宣誓してからサニーは出て行こうとした。
だが、後ろから一言、その声に惑わされたのが、運のつきだった。





「ボクと一緒に来たら、この髪の手入れの仕方、教えるよ」





その言葉に頭の中の理性が止めるのを全力で無視し、言われるがまま即答で誘いに乗り

そして、






「んで、監禁されてんだレ(俺)のあほおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ・・・」


まあ行き着いたところは言わずもがなの美食會本部。そこでようやく事の次第を悟り(おせーよ)抵抗したのはいいものの、到底敵う筈もなく、
数十分後には、自分が助けた男にボコボコにされ、満面の笑みのその男、トミーロッドに担がれながら彼の自室に監禁されることと相成った。




(ところでこれが美食四天王のサニーだ。どう思う。)
(・・・ものすごく、ばかですね・・・)
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