ぐほっ

□粃の森
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ふ、と目が覚めて顔を横に向ける。


「………トミー…?」


隣のベッドは抜け殻ような形跡のみ残す毛布だけ。

「…………?」

怪訝に思い身体を起こし、誰かが開けたままにしておいたドアを抜けて

外へ、出た。







色彩もなく特徴もない廊下をぺたぺた歩く。
廊下は非常灯の緑色の光以外ないが、スタージュンの目にはそれだけで事足りる。


「………」


自分達がこの施設の中で出入りできる場所は限られており、それ故トミーが行く場所も見当がついていた。

突き当たりの重いドアは体ごと押して、やっと開く。それと同時に降り注ぐ冷たい月の光にが眩しくて目を細める。

「……見つけた…」


そう呟くと、鬱蒼と茂る草木の中、硝子越しの月を眺めていた少年が首だけを動かしてこちらを振り向いた。


「…なんだ、スターか」

興味のなさそうな口調とは裏腹に、スタージュンが来ることを待っていったかのようなトミーの横に
溜息をつきながら近づき、一緒に鋭利な光を放つ月を眺める。
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