海想

□手の届く空の下で
2ページ/4ページ

「##NAME1##ってさー」
「何ですか」
「辛くないの?」


あなたはもう少し『人の気持ちがわかる』コマンドをアップさせろ、とは言わずに。


「今までのトミー様の行動のせいで生命線を延長させることが辛くなっています」
「それはお前がボクのペットだからねー


意味わからん。


「そういうことじゃなくてさ。##NAME1##は無理して生きてんのが見え見えなんだよ。
なーんでそんなにつっぱんだろうなーって思ったダケ」
「この前から私はそんな風に見えますか」


そういうと「まネー」と返してきた。言っておくが英語の方ではない。


「ボクみたいな奴でも痛々しさが伝わってくんのサ」

言い終わって唇を舐める。温度を感じさせない瞳は私を捕らえて離さない。






「…死んでみる?」
「は?」


どうやら視線がいつの間にか下がっていたのでもう一度見上げる。


「だから、死んでみたいかっつってんの」


「………はぁ」としか言えない。会話の切り口が乱切り過ぎて予測不可能。

それに、トミー位で私が殺されるなら、とっくの昔に楽しく自殺していたし。

あともうひとつ。
私を殺せる人がいるならどんなことをしてでも殺されにいく。
本人の意思とかそんなのはガン無視で。
悪いけど私は、人材を人間として登用しないから。

…いないからできないんだけどさ。

それを許さないのがスターさんで、逆に助長するのがトミーの役目なのだろう。自殺志望者に寛容な上司がいてよかったよ。


「おい聞いてんのー?」

耳をぐいぐいめきめき引っ張られた。あべべべべ。

「き、聞いてますです」

スポンといい音はしなかったけど、耳を放され顔をぐいっと近づけられた。

「でー?答えはー?」
「貴方じゃ、無理」



簡潔に言う。変な期待を持たせるのは良くないですからね。
それに対してトミーは一瞬で真顔になる。
こりゃーてーへんだ。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ