ぐほっ

□華アワセ
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「という訳でどう思うこの私の朝!!」

「あなた方姉弟が時間と経費の無駄使いしかしていないことがよおく、わかりました」

「同情しろー!」

仕事の最中にも平気で愚痴を言い募る同僚に頭痛を覚える、私の朝にも同情していただきたい。


「全く、私はボスが召し上がった皿を下げている最中なのです。邪魔をしないでいただけますかね」

「なによー。私のどこら辺が仕事の邪魔になるって言うんだよー」

「まずその手を離しなさい今すぐに。」


私の胴を横から体ごと掴む、要するに抱きついているので邪魔でしょうがない。

すると眼下でショッキングピンクの髪が揺れて
代わりにぷくっと膨れたロードの顔が私を上目遣いで見上げる。


・・・・私としたことが。不覚にもときめいてしまったではないですか。



「だってさあ、トミーのこと愚痴れるのアルファロしかいないんだよ」


「・・・そもそも、何度も言っているではありませんか。そんなにも迷惑だと思うならば、トミーを左遷するなんなりして、自身の立場を自覚させればいいと。
せめて貴女だけでもボスの城に移ったら如何です?貴方がいるべきところは、元からここなのですから」


「うーん・・・。でも、今でもなんとかやっていけてるし、ボスも特に何にも仰っていないから、いいよ。ごめんね、気ぃ遣わせちゃって」



そうやって、申し訳なさそうな表情をして離れるロードと何も言わない私。
お互いこのやりとりは何度もしているのでここから先は言わないことが最近の暗黙の了解となっている。

「それに、トミーは私の弟だしね。甘やかしっちゃたぶん、責任取らなくちゃ」



そんな、義務的な自己犠牲の精神をもらしてからロードは屈託なく、あの弟の姉とは思えない笑顔で笑った。



「でもさ、みんな本当に優しいよね。トミーが迷惑をかけた相手には出来るだけ謝るようにしているけど、その度に逆に気遣ってくれるもん。
それも、なんか嫌味とか、そういうのじゃ全然なくてさ。こう・・・ねえ・・・うーん・・・」



「ここって本当に悪の組織?」と首の促進運動へと行動が映っているロードを見つめ、やれやれとため息をつきたくなった。





全く彼女は、ありえないほど異質な存在だ。






皆優しい?気遣ってくれる?本当にここは悪の組織かと?





馬鹿ですか貴女は。





何故所詮はいつか蹴落とす相手、しかも女にわざわざ優しくするのですか。

何故迷惑を被るどころか命の継続に支障をきたすほどの被害を受けているのに気遣うのですか。


地位のせい?力の差?彼女がボスのお気に入りだから?


どれもこれも全くの見当違いです。

ここを、どこだと思っているのですか。


それは、貴女が普段目にしているもの、行っていることでよくお分かりでしょう。




貴女が無意識のうちに、どれほどの人間を魅了しているか、貴方は全く知っていない。
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