SSL☆大奥学園
□SSL☆大奥学園はじまるよ〜A
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春野 琴音 15歳・・・・。
どこにでもいる、普通の高校生。
普通の家庭に産まれ、何不自由なく普通に育って来た私。
東京のとあるマンションの11階に両親と妹の鈴音と住み、公立高校に普通に通う女子高生。
友達も至って普通の子ばかり。
そう、ある事件が起きるまでは・・・・・。
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「ちょっと、庄吾!!早くしないと遅刻しちゃうよ!」
勢いよく部屋のドアを開け、まだベッドの中に眠っている人物を揺さぶり起こす。
「うーん、、、眠い。琴音、勝手に人の家入って来るなって・・・・」
しかし庄吾はまた布団を被り、起きようとしない。
「勝手にって・・・、だいたい、庄吾がちゃんと起きて来たら私だって朝からこっちまで来てないわよ!」
苛立ちのあまり、枕をつかむと、勢いよく庄吾に向かって投げる。
「いてっ・・」
少しの沈黙のあと、庄吾の大きなため息が聞こえる。
そしてようやく、しぶしぶ、布団から幼馴染の庄吾が姿を表す。
琴音と庄吾は幼い頃から隣同士のご近所さんであり、幼馴染であった。
庄吾の家は両親とも共働きをしており、庄吾が高校に入る時期に海外に出張となったためこうして琴音が毎朝、
起こしにやって来るのだ。
「遅刻して、留年にでもなったら、私がおばさんに怒られちゃうじゃない!」
琴音がクローゼットの中から制服を取り出すと、紺色のブレザーを勢いよく庄吾に手渡す。
「これ着てちゃんと学校に行ってよね!私は朝練があるから急いでるの!」
まるで母親のように琴音が鞄と制服一式をつきつけた。
「はいはい・・。はぁ、お前も一緒の学校だったら良かったのに・・・。」
制服を片手につまらなさそうに庄吾がつぶやいた。
「何言ってるの。一般人には入れるような所じゃないじゃない。うちは庶民だから、公立で十分だもん。あの学園に
入れただけでも有難いと思わなきゃ。おばさんが悲しむよっ!」
そう言ってにっこり琴音が笑い、思いっきり庄吾の背中を叩いた。
「・・・・・・いてぇよ」
「じゃっ、私行くね!朝ごはんテーブルに置いてるから、ちゃんと食べるんだよ!」
そう言って琴音は自分の鞄を手に、玄関に向かう。
そんな琴音の姿を庄吾は見えなくなるまで目で追った。
まだ1ヶ月程しか着用していない、制服が重たさを感じる。
胸元には学園のシンボルマークが煌びやかに施されている。
誰もが一度は憧れる学園の制服である。庶民はもちろん、そう容易く入れる場所ではないのは誰もが知っている。
庄吾の両親は外資系に勤めており、顔も広く両親の努力の解あってなんとかして紹介から入学をさせて貰えたが、庄吾にとってはいい迷惑であった。
幼馴染の琴音とは小学校も中学校も一緒であったため、もちろん高校も同じ公立高校に通うものだとばかり思っていた。
が・・・・両親から突然差し出された入学願書を見て唖然とし、言葉も出なかった。
その両親も仕事の都合で海外に出張中のため、無理やり入学させられたものの、突然の一人暮らしも強要させられることになってしまったのだ。
「まぁ、あいつが毎日起こしに来てくれるから悪くもないよな」
一人ぶつぶつと言いながら、庄吾は制服に着替えてリビングに行く。
「???」
ふと、テーブルに置かれている巾着袋に目が止まった。近くまで行くと、どうやらお弁当らしい。
しかも、琴音の手作り弁当である。ご丁寧に「お昼ご飯によかったら食べてね」・・とメモ書きまでしてあるのだ。
「・・・・・ったく・・」
口元を手で隠す庄吾の顔は真っ赤になっていた。
(ヤバイ・・・半端なく顔がにやけてしょうがねぇ・・・。)
高鳴る胸に手をあてながら、一旦深呼吸をする。
「よし、行くか!」
鼻歌まじりで支度をすると庄吾は上機嫌で時間通りに家を出たのであった。