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□第三羽
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大蛇丸のアジトから急ぎ足で退却中の零。
理由は単純で、我愛羅から尾獣をぬくのはもう終わったらしい。
それなら暁のメンバーは動き出す。
それで私と大蛇丸様があっているのを見られたら即アウトだ。
「ふぅ…、デイダラとサソリさんはっと…」
尾獣をぬく場所にもう一度戻った。
そこには多くのクグツ。
そしてその中にある、サソリ。
「サ、サソリさん!!?」
サソリに一直線で走っていく。
「零か…」
「大丈夫、じゃないですよね!?」
「あぁ…」
「なら…、どうします?」
「な、にをだ…」
「あなたはこのまま生きたいですか…?死にたいですか…?」
まさか自分がこんな質問をサソリにするとは思いもよらなかった。
いつもなら絶対助けるのに……
「俺は……、失敗作だ……」
「…」
「本当に笑えるぜ…。多くの命をうばってきた俺がいまさらこんなことを言うなんてな……、皮肉なもんだぜ……」
サソリは口角をあげた。
「もう一度言う。俺は失敗作だ。だが、俺は失敗作でおわりたくねぇ……」
だまって話をきく零。
若干目に涙がたまっていた。
「俺は失敗作なんかでおわりたくねぇ…。両親の温もりなんかで手を緩めた俺は人間でもなく人形でもない…。ふざけんじゃねぇ…。それであの小娘とちよばあを殺せなかった…。そして俺はあいつらに殺された…」
まだ生きてるのに……
「俺は…………い……だ………し……お…た…」
サソリの声はだんだん途切れとぎれになっていく。
それをなんとか聞き取った零は袖で涙を拭きとり、「はい」と返事をした。
そして……
グシャ……
サソリの心臓を氷でつらぬいた。
「さようなら、サソリさん…」
ほほに生暖かいものが伝った。