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□第五羽
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いま零は天地橋へと進んでいる。

理由は簡単。
サソリさんが唯一零に任してくれた任務だから。
最初は大蛇丸様に暁の現状をつたえるためだけに利用しようとしていたが今はそんなことどうでもいい。
どうせだからサソリさんが私に頼んだことをやり遂げよう。
ただ、それだけだ。


…いまさらだが私は大蛇丸様のスパイだ。


そんなスパイが暁の人のいうこと聞くなんておかしいけど…
仕方ないよねぇ…


天地橋が見えるところにきた。
しかしそこには人影。


一人はカブトに間違えない。
もう一人は…


「サソリさん?」


なんで生きてるんだ。


「あぁ…」


そしてなんで返事なんかしてるんだ。


「もおー、おいていかないでくださいよー!」
「すまないな…」


誰なんだこいつは一体。


「サソリ様。例のものを渡してくれませんか?僕はこれ以上はゆっくりしていられません。ここであなたとこうしていることがばれたら……、僕は殺されてしまう」


カブトがすっと手をだす。


「カブト、これが例のもの」


その手に零は本物のサソリから預かったとある巻物を渡そうとした。


「面白そーな話ね。私も会話に混ぜてもらえるかしら」


カブトの後ろにいつのまにか現れたのかいる大蛇丸。

カブトもサソリは距離をとった。


「あら、零ちゃん?どうしたのかしら?」
「いえ、別に…」
「まぁ、見たところサソリの使いかしら?」
「当初はその予定だったんですけど…。どうしてでしょうね…」


零は視線をサソリにうつした。


「その装束なつかしいわね、サソリ」
「カブトをつけてきたのか?」
「なに、少し礼を言おうと思ってね」


大蛇丸がカブトについてかたりだした。

ぜんぜん少しじゃない。
っていうか、カブト君って実はすごいんだ…。










「どうすんだってばよ!!?零ちゃんもいるんだぜ!!?」
「隊長の指示があるまで待つしかないわ…」
「サクラちゃん!それでいいのかってばよ!」
「それが最善策よ。零を連れ戻したとしても私たちが死んでは意味がない…」
「(…あの女の人…。暁の装束着てるな……)」









カブトが手にチャクラをまとわせる。
そして、ガッとサソリのくぐつをきった。
ほそくなに微笑むカブト。
それを見越したように大蛇丸が潜影多蛇手という術を使い、サソリの中身を捕まえる。
しかしそれは木の分身だった。


「チィ…」
「これは木遁忍術での変わり身…。アナタまさか…」
「大蛇丸様、これがサソリの本体ですか」


カブトが大蛇丸に聞いた。


「違うよ。サソリさんはもうすでに死んでる…」
「カブト…、お前サソリの部下だったくせに本当の顔もしらないでいたの?」


それは思う。
サソリさんの顔をみないなんて人生損してる。
クグツの顔ってば、いかついくせにサソリさん自身は美形だし、可愛いしで本当によかった。

あーあ、なんで死んだんだろ…
生きてて欲しかったな……

こんなこと思うだけ無駄か……


そんなことをのんきに思っていた零。
だが、次の瞬間にはその様子はまったく感じられなかった。


「…いつもクグツの中に隠れてる陰気な奴でしたからね」
「…カブト君」
「ん?」


かなりの殺気をだしてカブトを睨んだ。


「零ちゃん。ど、どうしたの?」
「サソリさんのことをそんな風にいうとか、まず許せない。カブト君。死にたいの?」
「ごめんごめん」


素直に謝ったほうが得策だろうと感じたカブトは反射的にあやまった。


「次、次いったら殺す」


冗談のような本気のような、どちらともとれる声でいった。


「どういうことだ…!お前は“暁”のスパイのはず…。サソリにずっと術をかけられていたはずだ」
「そんな術…、大蛇丸様解いてくれた…」


そんな術…?


「サソリの術にかかったふりをして寝返ってたとはな…。大蛇丸の術におちたか…」
「いや…違うな。僕はただ大蛇丸様のお考えに共感しただけだ。己の意志だよ。
…ところであんたは誰だ?サソリを始末するつもりだったのに」
「カブト…」
「なんですか大蛇丸様?」
「このこのことは後で説明してあげるわ…、それと…」


大蛇丸はちらっと零をみた。
そこには機嫌がいかにも悪そうで、今にもきれそうな零がいた。


「それより…、後ろの子ねずみ三匹もここによんだらどう?」


ザン!!


三人が姿を現した。

サクラにナルトに…
色の白い子。


「…また君か…」
「クク…、幾度か見た顔ね…。九尾の子もいるみたいだし…少し遊んであげましょうかね」
「サスケとどっちが強くなってるか…、楽しみ」


どうせ落ちこぼれのナルトはサスケには叶わないだろうけど


「零ちゃん!!帰ってこい!!」
「そ、その服装…、やっぱり…」


サクラが信じがたいというのを表現したような声をだした。

それに零は「ふふっ」と笑った。


「似合う?」
「ぜんっぜん似合わねぇってばよ!!」


なんでかなぁ
この衣装はみんなから不評だ。

自分ではかなり似合ってると思ったんだけど…
デイダラは似合ってるっていってくれるし…


「大蛇丸っ!!零ちゃんに…、サスケをサスケを返せ!!」
「返せはないだろ…、ナルト君。ズレテルよそれ。サスケ君は望んでわれわれのとこへ来たんだ。引きずりすぎだよ。男のくせに未練たらしいね」
「っぷ」
「零ちゃんだって、自分から来たんだよ?別に零ちゃんの道なんだから零ちゃんの好きにさせてあげなよ。別に零ちゃんのこと本当に好きではないんだろ?一番じゃないのに押し付けがましい思う心だね」
「ッぷくく」


カブト君最高。
図星を全部あててる。
ナルトもいいかえせないらしい
サクラが反論してきた。


「サスケ君のことが知りたいなら…、力ずくで私から聞きだしてみなさい…、出来ればだけど」
「うがらあああああ!!」


まるで小さな狐のような姿だった。


「ナルト君“人柱力”としてかなり成長してるね」


二年のときは案外長いものだな…


「“人柱力”らしくなっちゃってるわね…。ナルト君…」
「!」
「!」
「…!」
「…」


それぞれ反応をしめす。


「それで…、君が見張り役に選ばれたのね。私の実験も少しは役にたったじゃない…。木の葉にはもう少し感謝してもらいたいわ…。ねェ…私の可愛い実験たいさん」
「実験体…?」
「全忍の中で唯一木遁忍術を使いさらに…、“尾獣”を意のままに操ることができた初代火影の力が欲しくてね…、クク…」


木遁忍術…か…

あの人もたしか…使えたっけ…


「月華以外全員死んだと思ったけど…、まさか生き残りがいたとはね…」
「月華もか…」


なんだこの人。
この人も月華の知り合いか…

私が死んでなかったころにこんな人いたっけ?

記憶の片隅にのこってない。

私まだ戻ってない記憶があるのかなぁ…


空気がぴりぴりする。
ナルトも狐の形にだんだんと近くなっていっている。


「っ」


高密度なチャクラでふきとばされる。


「はぁ…。あれが九尾か…。最終的に尾が九本になるのかな」


そうなったらどうなるんだろ…
いまよりもっと強くなるのかな?

 
橋がくじれそうになったときに、ヤマトが木遁忍術でささえた。


「な!サクラ!!?」


頭でもうったのか、意識のないサクラがいた。
いまにも落ちそうだ。


「ったく…」


サクラの近くにいって、お姫様だっこ。
サクラがおきたら殴られるっぽいな。
サスケ君がよかったーとか言われて


「でもあいつ一体なに考えてんだか…」


サイの行った方向をみた。

にしても不思議な術を使う。

サクラをしたにおろして支える。
私って非力だからあんまり長時間支えることなんてできない。


「サクラ、しっかり」
「ん…」


うすく目をあけた。


「零!!痛っ」
「だ、大丈夫?」
「大丈夫よ…。それより零が助けて、くれたの…?」
「うん。感謝感謝」
「ふっざけんじゃないわよ!!!」


バシンっ


サクラが零の頬をなぐった。


「いったい!」


サクラにこんな力あったけ?


「痛い…」
「あっ、ごめんね…」
「ブスに馬鹿力はもてないよ?綱手様は巨乳だし美人だしでもてるけど…」
「しゃんなろー!!」
「いったい!!ってば!!」


また再度殴られた。

サクラにここまで力があるって…
なんで?
私でもここまで力ないよ?


「…チャクラコントロール?」
「うん…」


納得。


「おい…!」
「すいません。もう大丈夫です」


サクラがいやにしおらしい。
二重人格健在ってとこかな


「君がサクラを助けたのかい?」
「はい」
「そっか…。感謝したいところだけど…」


木が下からのびてきて零の体を固定した。

ヤマトの木遁の術だ。


「君には拘束命令がでてるんだ。悪いね」
「これって木の葉につれもどされる系ですか…?」
「そりゃね…。君にはサスケ君の情報、大蛇丸の情報、暁の情報を聞き出さなければいけないしね」
「サスケ君!?」
「そう…。大蛇丸とも接触してたんだ、木の葉にいたころに親しかったらしいサスケといたとしても不思議じゃない」


見事な推理力。


「アハハ、ほとんど正解で一部間違い!」
「!?」
「私氷分身です!」


ガラガラっと氷になり、零の形が崩れた。


「零…」
「…あの子は暁か…」
「…」


サクラが泣き出した。


「零っ、なんで!!?なんで…!暁にはいって…大蛇丸のとこにいってんのよォ…!!私との、私とのっ」


サクラはただひたすら泣いていた
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