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□truth
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「お久しぶりです」
屋敷に入って通されたのは応接間らしき場所だった。今オレはテーブルを挟んでオレ達兄妹の『義父』と対面している。ところで、この人がサングラス(若しくは色付きのメガネか?)を取ったところを見たコトないんだが。別に目が見えないとかそういうワケでもないらしいし。
「一週間前にも会ったがね…あぁ、立っていないで掛けたまえ」
「失礼します」
一礼してソファーに腰を下ろす。流石は園咲家、フッカフカだ。さて、早く本題を片付けて帰ろう。この屋敷の雰囲気は何となく苦手だし。
「この度は、ボク達を引き取って頂いて本当にありがとうござ」
「人払いはしてある。本音を言ってくれて構わんよ」
「…では遠慮なく」
他人の話を切るなよと言いたいが、手間は省けた。いっそこのままの勢いで突っ走ってしまおう。
「――オレを養子にしたフリしたりして、何が狙いなんです?」
「いつ気付いたんだね?」
柔和な笑みのまま返されても返答に困る。ここで下手なコトを言ったら後々面倒な事態になるんだろうなァとか。
「まァ…大体最初から、ですかね。アレだけ『家族』を大事にしてた人が余所者を歓迎するとも思えませんし」
「成る程、ナンバー3の座は伊達じゃないということか。…まさかとは思うが、口外していないだろうね?」
「まさか。言ったところでオレが得するワケでもないですし」
極々若干ではあるがテラーの片鱗をみせてきた。こわいこわい、あとナンバー3って言うな。
微量の殺意を抱いたオレの目つきは大層よろしくないんだろう、『義父上』は早々に話を切り上げた。用件はお礼(という名の皮肉)だけだったのでコチラとしても好都合。…疲れた。
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