novel

□Nとの遭遇/まだ見ぬ世界へ
1ページ/5ページ

「ただいまー」
陽気なこえ
「凄いでしょ、もう見つけたんだよ?」
ハンガーにくろいふくを掛ける
「でも忘れられてた」
そのままゆかに落とす
「…クソっ」
かべを殴る
「しかも超逃げられたし。何? オレ幽霊?」
軽くちを叩く
「…鏡? 上着着て? どれどれ…。……納得した」
項垂れてすこしわらう
「逃げられた理由は分かった。記憶が無いのは…まぁ好都合か」
めが昏い。


「翔太郎…」
ソファーにひっくり返った相棒がうめく。
「どしたーフィリップ。大丈夫か?」
「何とか。それより、あのセイヤという青年の目的は僕かな?」
なかなかヘビーな質問だな。多分そうなんだろうが…せっかく出歩けるようになったのに、あっという間に次の敵か。
「さぁな、やっぱ地球の本棚か?」
「うーん」
変身を解除して事務所に戻って来ると、フィリップがソファーでのびていた。自由に外を歩ける身になったものの、相変わらずガレージで検索に没頭する生活だったために体力は大してつかなかったらしい。そこに生身で長距離を全力で走ったからヘトヘトなんだ、と言っていた。
「そんな格好で寝たら風邪ひくぞー」
「んー…」
声をかけたものの相棒はもう夢の中だ。…毛布でもかぶせとくか。


「たっだいまー! 竜くん、これお土産〜」
「ありがとう、所長」
手渡されたのは有名なドーナツのチェーン店の箱。開けてみると、同じ種類ばかり四つ入っていた。薄くピンクがかったそれは初めて見るものだ。
「それねー、新商品なんだって。100円セールの対象外だったけど買っちゃった」
「四つ…二つは左達に?」
「うん。おすそ分け」
「…所長、ドーナツは酸化するから味が……」
「…!」
がっくりと落ち込んだ所長を見て、また買えばいいと慰めた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ