extra

□white lie
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「じゃあね、詩音!」
いつも通りとびきりの笑顔を浮かべて病室を後にする。どうにかドアを閉めて、オレはたまらず崩れ落ちた。
「ッ…ぁ、ぐ」
息が苦しい。
体が重い。
だるい。
痛い。
早く、誰かが通りかかる前に立たないと。詩音にだけは、知られちゃいけない…

‡‡‡‡‡‡‡‡‡

「ヤッホー、詩音!」
病室の戸を開いたオレ。明るい声で、歌うように声をあげる。
昨日はどうにか家まで帰り着いて、そのまま床に這いつくばって寝た。冷たいし固かったけど、寝ないよりマシらしい。体調は幾分かよくなっていた。
あともう少しだけでいい。もう少しでいいから、
「場違いの見本みたいな挨拶ね…」
この憎まれ口を聞ける身でありたい。

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