novel

□Tの標的/花と太陽と雨と
2ページ/5ページ

大っ嫌い。
あの人なんて大っ嫌い!
わたしのことをバカにしてもてあそんで、あんな女を選ぶなんて!!
ううん違う、バカなのはわたしじゃなくてあの人の方。
それにあの女を選んだのはわたしに捨てられたから。
だって賢いわたしは自分からあの人を振ったんだもん!
そうだよね、わたしがふられるなんておかしいよね。
よし、手始めに…思い出を壊そ!


照井竜の電話を受け、僕達は公園へ向かった。ハードボイルダーで移動している中、僕はある事実に気付く。
亜樹ちゃんがいない。
それ自体は問題無いのだが、変身している間は僕の身体が無防備になってしまう。…こればかりはどうしようもない。エクストリームが来てくれると助かるんだけれど。
そんな事を考えている内に、耳障りな音が聞こえ始めた。コンクリートを砕く音、木が倒れる音、そして人間の悲鳴。…近くにまだ人が居る!?
着いた公園はかなり大きかった。イベントでもやっていたのか、あちこちに幟が立っている。そして敷地の広さに反して出入口は一つしか無いらしい。狭い門に大勢の人々が押し寄せていた。
「翔太郎、何処から入ろう…」
「そうだな…こことかどうだ? 見つかるとまずいけど」
そう言って彼が指し示したのは、フェンスに空いた大穴だった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ