ハイキュー!!

□烏野バレー部1年の親睦会
1ページ/1ページ




「月島、あーん」

「‥‥‥」

「おい!食えよ!」

「‥‥やだよ、何の真似さ」


場所は駅から近くのケーキ屋さん。
バイキングサービスを開始したとのことで、行きたい行きたい!と騒いでいた日向の提案でバレー部1年生の4人で行くことになった。
最も影山と月島に関しては、あまり乗り気ではなかったが日向と山口が何とかして丸め込み、今日に至るのだ。
幸いに全員甘いものが苦手ではないため、たまにはね、といった山口の寂しそうな微笑みが全員参加の方向に固まったのだ。

そして当日、さっそくケーキバイキングに向かった4人。
行きたいと騒いでいた分もあって、日向はパクリパクリと次々ケーキを口の中へ運んでいく。
影山はと言うと、いつもの如く日向と張り合うために負けじとパクパクと食べ進めていく。
それを正面から見ていた月島は引き気味になり、先ほどから水しか口に含んでいない。
その隣で同じように「お、おお‥」と言っている山口もまだ来てから少ししかケーキに手をつけていない。

ひと段落してから、落ち着いてきたのか日向が自分のケーキの上に乗っかっていた苺をフォークで刺し、ズイッと月島の方に向ける。
「は?」と今にも訴えてくる月島の目は先ほどと変わらないまま見やる。



「こうやったらノッポ月島を餌付けた気分になるじゃん!」

「‥‥そこまで言っておいて、僕が素直に乗るとでも思ってるの?」

「たまには良いじゃんか!」

「それなら王様にでもやってあげれば良いじゃないの、ほら、家来みたいに王様の口元に運んであげればいいじゃないの?」

「なんで影山なんだよ!」


そう言いながら影山を見れば、モシャリとサラダバーから野菜を持ってきては口いっぱいに詰め込んでいた。
「あ?」とだけ言うと、またサラダに目を向けてモシャモシャと食べ進める。


「すげーな、お前の食欲‥‥」

「人のこと言えないデショ」


つまんねーの!と言いながら諦めた日向はフォークに刺さった苺を食べてから残りのケーキを少しずつ食べ進めていく。
そういえば、と思うように月島が隣にいる山口に目を向ける。
もぐもぐ、と口を動かしており、こちらに気が付いたのか「ん?」と言って月島の方を見上げてくる。


「どうしたの、ツッキー?」

「いや、うん」

「?」

「おいしい?」

「うん!ケーキも久しぶりだったから凄い美味しいよ!ここのケーキ屋さん、ツッキーも好きだもんね!」

「そうだね」

「あ!ツッキーこれ食べた?苺のミルクレープなんだって!」

「食べていないかな」

「これね!すっごく美味しいんだ!はい、あーん!」

「ん‥」


山口がケーキをサクリと一口大に切って、ケーキが乗ったフォークを月島の方へと向ける。
躊躇いもなく月島の口へと入っていき、あっと言う間に飲み込まれていった。


「うん、さっぱりしていて美味しいね」

「だよね!今度買って帰ろう!」


そんなやり取りをしながら山口は再びケーキへと意識を戻す。
影山は先ほど同様にサラダバーから大量に皿へ盛って食べ進めていく。
月島は自分の皿にあるショートケーキを一口、口に含んでから、また山口の方を見る。
その光景を見ている日向。




「‥‥なんなんだろう、これ。」








 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ