□彼奴+俺×感情=
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サクラは、何も答えない。

「何にもしてやれねーと思うけど、聞くだけ聞いてやるぜ?」

オレは、サクラを正面から見た。

サクラは、瞳を伏せたままで。
カップを握り締めて。
心細そうな肩をしていて。
オレは…

「シカマルに会いたかったの。ずっと」

サクラの瞳は、オレに向けられた。

その瞳が映してるのは、幸せでも嬉しさでも不安でもなくて。
オレだった。

今にも泣き出しそうになりながら、必死に涙を抑えてオレを映してる。


さっき湧き上がった感情が、体中を支配する。


奪いたい。

サスケからサクラを奪ってしまいたい。


でも、その後どうするのだ?


熱くなれないのがオレの長所であり、短所。

頭だけはこの感情じゃなくて、理性が支配していた。

冷静に問いかける理性。

サクラはそれで幸せになれるのか?

サクラは、それを望んでいるのか?


冷めた理性が感情の支配を覆す。

「結婚する奴が何馬鹿なこと言ってんだよ」

合いたいのは一にも二にもサスケだろと、理性は続ける。

さめた理性は、サクラをあしらうことを選択した。


「…そうだよね…何馬鹿なことしてるんだろうね、私」
サクラは、下を向いて勢いよく立ち上がった。

「ごめんねシカマル、変なこと言ったりして。あっ、もう失礼するね。おばさんに紅茶美味しかったですって伝えておいて。それじゃ…」

サクラとすれ違った時、何か冷たいものがオレにかかった。


…涙…?

「サクラ…?」

何で泣くんだよ。
お前が好きなのは、お前が選んだのはサスケだろ?

違うのかよ……
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