壱
□自分×雲×彼奴=
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天気が良いから、散歩に出かけた。
任務もねー、約束もなんもねーから土手に寝転んで雲を見ることにした。
人生で一番幸せな時間だ。
「あー、何か眠くなってきた…」
どーせ何もねーし寝るかと思った矢先、でけー声がした。
「シカマル―!!」
ピンクの派手な髪が、遠目からでも分かる。
サクラだ。
この間偶然此処で会ってからというもの、オレが此処にいるとかなりの頻度でサクラが現れるようになった。
「シカマル、私も仲間に入れて!」
いつもそう言って、オレの返事も聞かずに、半ば強引にオレの隣に座る。
オレが眉間にしわを寄せると、サクラはいつも、いつも以上に上機嫌な笑顔を見せる。
「今日は、良い天気ねー。雲も真っ白だし!」
そう言うとサクラはオレに倣って、土手に寝転んだ。
会話は特にない。
会話は、弾む時もあれば、今みたいにない時もある。
無言でも苦痛じゃないサクラの隣は、なかなか居心地が良い。
「雲は良いよな、自由で」
独り言のつもりで呟いた。
「でも、雲は帰るとこないんだよ」
サクラが、雲を見つめたまま返事をしてきた。
んーそうかとさらに返事を重ねると、んーそうよーってまた返事をしてきた。
たぶん他の奴らからしたら、すげー無意味な会話。
オレだって、他の奴とならこんな会話面倒くせーからしねー。
そういう意味でサクラは特別だ。
そういやー何でだろうな?
「シカマル、あれ見て!あの雲、パックンに似てない!?」
まぁ、考えんの面倒くせーし、良いか…
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