壱
□彼奴+俺×感情=
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サスケが、里に戻って五年が過ぎた。
オレ達は、二十三歳になっていた。
周りが少しずつ結婚し始め、一種の焦りにも似た感情が出てくる頃だ。
「結婚したいなー」
もうすっかり日常の一部となった、サクラと過ごす土手での時間。
サクラは、呟くように毎日繰り返す。
語尾をのばして、軽い感じで言うから、オレもあれが本気だったなんて気付けなかった。
「サクラ、サスケ君と結婚するんだって」
オレとサクラは、別に恋人同士でも何でもねー。
だから、こういうことは当然起こりうることだ。
とはいえ、ショッキングな出来事だった。
何故言ってくれなかったのか、ほんの少しそう思った。
いの伝いで聞いたサクラの結婚を知った日から、サクラは土手に来なくなった。
まぁ結婚決まったのに、こんなとこで男と二人っきりってのはまずいだろ、って頭では思ってた。
来なくて当然だって。
頭で分かってるはずなのに、気付いたらオレは土手に行くのを止めていた。