壱
□家族×日常=
1ページ/5ページ
「お父さんも任務があるんだから、朝修行の時間そんなにないのよ。早く朝ご飯食べちゃいなさい!」
「ハイ、ハイ」
「ハイは一回!」
サクラが、台所に消えていく。
サクラの顔色が、ほんの少し悪そうに見えたけど、一瞬のことだったので、よくは見えなかった。
「なぁ、父ちゃん」
「何だ」
いつもよりは小さめの声でオレを呼ぶ。
だが、元々でけー声だから、結構な音量。
「何であんなキツイ母ちゃんと結婚したんだ?」
どっかで聞いたな。
…あぁ、オレが昔親父に言ったな、同じセリフ。
同じ答えっつーのもアレだな。
「結婚でもするかって言ったら、すげぇ幸せそうに笑ったから」
「…そんだけ?」
そんだけってお前、これはすごい事だったんだぞ。
サクラは異常なくらいモテて、競争率はものすごかっ。
恩師達、同期の奴ら、一期上の先輩、はたまた風影まで狙っていた。
オレが結婚の二文字を出す前に、何人にも結婚を申し込まれてたらしい(いの情報)。
そして、周りの連中いわく、一番サクラから遠かったはずのオレが、サクラと結婚することになった。
結婚後もサクラをめぐる騒動は絶えることなく、それが落ち着いたのは、目の前の息子が生まれてからのことだ。