壱
□家族×日常= 子供side
1ページ/4ページ
「母ちゃんは、何で父ちゃんと結婚したんだ?」
今朝父ちゃんにも訊いたことをおやつの時間に訊いてみた。
今日のおやつは、母ちゃん手作りのチェリーパイ。
何でも思い出のパイらしく、よく作るんだ。
味の方か?
そりゃ美味いよ。
母ちゃんは、里で一番料理が上手いんだ(父ちゃんが言ってた)。
「何よ、いきなり」
オレの前で両手で頬杖ついてた母ちゃんは、両手から頭を上げてきょとんとしている。
「んー、何となく訊いてみたかったんだ」
「そうねぇ、何でかしらね〜」
えっ、悩むの?
「今思えば、プロポーズの言葉は『結婚でもするか?』ってだけだったのよね。本当に何でかしら!」
何か怒りだしたんですけど…
「もっと素敵な言葉くれた人もいたのに、本当っっ何でかしら!?」
そういえば、今日の朝修行の時、父ちゃんが言ってた。
母ちゃんは、料理の腕だけじゃなくて、プロポーズされた回数も里で一番だったって。