壱
□彼奴×誕生日+俺×花=
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見渡せる範囲には、人の頭しか見えねー。
黄色や茶色や赤や灰色の髪が、黒の集団にまばらに混じっている。
が、それでも一番目を引くのは、人だかりの中心の桜色の髪。
「サクラ、誕生日おめでとー!!」
そう、今日はサクラの誕生日。
ここに来てる奴は、全員花を手にしている。
何でも、サクラの奴がプレゼントは各自が花言葉を考えて私に渡してね、なんて言ったのが原因らしい。
オレか?
ちゃんと用意してある。しないとサクラの奴怒るからな。
何の花かだと?
花言葉なんて面倒くせーから、サクラが気に入りそうな花にしたんだよ。
名前?
そんなもんオレが知ってると思うか?
ってか、この状態じゃ渡せるかも危ういな。
まぁ渡せなかったら、それはそれで別にいいけどな。
どうせサクラは、オレからのプレゼントなんて考えたこともないだろうしな。