陸萬打御礼(大和桜)



『本日午後六時より開催された火ノ寺祭ですが、開催されて一時間足らずして参加者が六万人の大台を超えました。地元の一般市民はもちろん、大名家や忍、他国の旅行客など参加者は多種多…』


ブチンとラジオを切って、お母さんに着付けてもらった浴衣姿を鏡に映した。


淡い色の髪だからと、お母さんの見立てで紺地の浴衣。


「ヒナタみたいだったら、淡い色の浴衣でも似合ったのかしら」


せめて髪はと、雑誌を見ながら一人で奮闘してみた。

その散々苦戦を強いられた前髪をピンと弾いて溜息。


そしたらピンポーンとインターホンが鳴って、程なくしてお母さんのサクラーと呼ぶ声がした。


「はーい!」


机にあった巾着袋を手にして、もう一度鏡に。

にぃと笑って、いってきますと自分に。






「じゃあ、お嬢さんをお借りします」
「お嬢さんだなんて!うちの子、それはそれは楽しみにしてて。こちらこそ、誘って戴いて本当にありがとうございます〜」
「いえいえ」
「お母さん!余計なこと、言わないでよ!!」


何で母親って、こうもベラベラと喋りまくるんだろうか。


「サクラ、似合うね」
「え!?」


じゃあ行こうかと、ヤマト隊長はもう一度お母さんに、いってきますとお辞儀をした。






「そんなにかしこまらなくても、」
「うん、でもサクラのお母さんだし」
「お母さんだからですよ。お父さんはちょっと厳しいから、アレですけど」


ぼにょぼにょと呟いたら、ハハハと笑われた。


「それにしても、」
「はい?」
「浴衣って見てるにはすごくいいけど、暑くはないのかい?」


本当に不思議そうなヤマト隊長。

僕なんてシャツの下タンクトップだよと、ヒラリと見せてくれて。

見えた鎖骨と胸の筋肉に、自然と視線が逸らされた。


「少し、暑いです」


出掛け際にお母さんが餞別とくれた、藤の切り絵が貼られている団扇をパタパタと。


「団扇と浴衣の柄、一緒だね」
「え?」


扇ぐ団扇を止めて、今さらのように見比べる。


「紺地に白抜きの藤か、何かいいね」


サクラに似合ってるよ本当に、なんて反則よ。




恋する乙女はゲンキンです。

あんなに渋々着ていた浴衣が、周りの淡い色のどの子の浴衣よりもよく見えました。




六万人もいるんだから、同じ浴衣を着てる人だっているかもしれないけど。


でも、


「これにして、良かった」













謝罪&御礼



60000打ありがとうございます。

65000打を越えといて何言ってんだですよねー(泣)
しかも、何この終わり方!?

お祭でのアレコレとかも妄想してたんですが、質の悪いネバーエンディングストーリーに成り果てそうだったので、ここで終わらせて戴いた次第でございます。


最近200アクセス近い日が続いております。
本当、こんな何もない拙宅へ足を運んで戴きありがとうございます〜
こんな駄文だけではお礼しきれないですよ、本当に(感涙)


せめてもとばかりで申し訳ありませんが、皆様にこの駄文を捧げさせて戴きます!

これからも皆様へ感謝を込めつつ、日々の萌を語っていく所存でございます。
末永くお付き合いして戴けると嬉しいです。

では、最後にもう一度。


60000打ありがとうございました!


2008.07.29 桐島希葉


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