ポケットモンスターFRLG

□Story 11
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『バシッ』




顔面を殴打する音が地下室に鈍く響いた。


「…っ」

「それでちったぁ反省したか?」


冷えたコンクリートの床に倒れ込んだカエデの顔を、幹部である叔父が覗き込んだ。


「……」

「反省したかって聞いてんだよ」


「…はい」

「声が小せーな…」


カエデの頭を靴で踏みつけ、顔を床に擦り付けた。


「ぐっ…ぁ…」

「…ったく、本当に使えねーガキだな。
化石一つもろくに持って帰ってこれないとはな」

「ごめんな…さい」




『ドサッ』




「わかったらさっさと寝ろ!明日も早いぞ!!」


カエデを足で転がすと、叔父はその場から去って行った。






……………






「幹部!」


エレベーターを降りた途端に、下っ端たちが数人駆け寄って来た。


「なんだ、騒がしい。一体どうした」

「これを見てください!」


下っ端たちは、幹部の目の前に新聞を広げた。


「ああ、確かこいつはよく珍しいポケモンを売りに来てたな」

「まずいんじゃないですか?
もしこれで我々の足がついたら…」

「何、たかだか一匹独楽鼠が捕まったところで警察に何も出来はしない。
大体、こんなガキに捕ま……ん?」

「幹部、どうかしまたしか?」

「こいつは…!」


新聞紙を持つ手が震えだした。


「…フフフ」

「幹…部…?」

「ハハハハッ!そうかそういうことか!!」

「…?」


下っ端たちは顔を見合わせて驚いている。


「お前ら、こいつらを見つけ次第すぐにでも取っ捕まえろ!
こいつらは、ロケット団に逆らった反逆者だ。
サカキ様の逆鱗に触れる前にな…」


幹部の浮かべた薄ら笑いに、下っ端たちは背筋をゾクリと凍らせた。

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