捧げ物
□1221HITキリバン小説
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Summer Evening
「グリーン、早く早く!」
「そんなにはしゃぐなよレッド」
グリーンは嬉しそうに手招きをするレッドに少々苦笑しながら彼のあとをついて行く。
今日は一年に一度の夏祭り。
蜩の鳴き声が辺り一面に広がる夕暮れ時の神社の回りには、たくさんの屋台が並び、ゲタの音や子供たちの笑い声が響くなか、人々が大勢行き交っている。
「でも、よかった」
「何がだ?」
「今年もグリーンと一緒に来れて」
「そうか…」
そう言われるとなんとなく嬉しい。
「さ、色々と回らなくちゃな♪」
…………
「あー、何かないかな…」
「お前…まだ食べるのか?」
焼き鳥にたこ焼、かき氷に綿あめなどレッドは次々に買っては食べている。
グリーンはそんなレッドの様子を見ているだけで、すでにお腹いっぱいである。
「だって、すぐにお腹空くし………あー、チョコバナナだ!」
レッドは一目散に走り出した。
「おばちゃん、ひとつくださーい!」
「はいよ」
お金を払いレッドはチョコバナナを受け取る。
「いっただっきまーす」
『パクッ』
「……///」
「はれ、グリーンどうひたんだ?顔赤いぞ?」
「い、いや別に…(この天然が……///)」
「…変なグリーン」
レッドは首を傾げ、口にくわえたままのチョコバナナをさっさと食したのである。
「ふー、食った食った♪」
「レッド…お前、唇の端にチョコがまだくっついてるぞ」
「え、どこ?」
「ここだ」
『ペロッ』
「……っ///何するんだよ!」
「ごちそうさま♪」
悪びれた様子もなくグリーンはそう言った。
「グリーンの…バカ」
「(バカはどっちだ…レッド)」