拍手

□若草色短編集-Spring 2008-
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Vol.1


「つくし、ヨモギ、たんぽぽの葉…」


サトシは籠の中を覗き込みながら、一つ一つの植物を手に取り眺めた。


「何をボケッとしているんだ、少しは手を動かしたらどうだ」

「い、言われなくてもさっきからやってるだろ!」

「ふうん、僕にはそうは見えないけれど?」


相変わらず嫌味ったらしい。
ほんの少し手を止めて眺めていただけなのに、この言い草だ。


「動かせばいいんだろ!動かせば!」

「こら、あんまり乱暴に扱うなよ」


雲一つ無い快晴とは言え、まだ寒さが残る午後の土手にしゃがみ込んで、二人は懸命にある物を採取していた。


「大体、つくしやヨモギはわかるけど、たんぽぽの葉っぱなんて食べられるのか?」

「何を言ってるんだ、アクさえ取れば煮付けでも天ぷらでも何にでもなる」

「へぇー」

「ほら、この籠が一杯になるまでちゃんと採る!」

「…一杯ってまだまだじゃん!」

「誰だい、“春って感じの食べ物が食べたい!”って騒いだのは?」

「うっ…」


シゲルの視線が痛い。
不意に、一時間程前の自分の姿が脳裏に蘇る。


「ま、もう少し頑張る事だな」

「はーい…」


本当に期待していた物とはちょっと異なるけど、たまにはこういうのも悪くはないかもしれない。

この状態では、見た目があまり良いとは言えないけれど、シゲルの腕にちょっと期待してみたくなる。
だって、俺の為だけに作ってくれるって約束したんだから。


そう思ったら少しだけ顔の表情が綻んだ。


終。



あとがき

春の拍手小説その1です。

ああ、これも長々と居座ってしまった(汗)
そんなつもりはなかったのに…(・×・)

とりあえず、何が書きたかったんだか自分でもよくわかりません(笑)




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