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□青い欲望
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そこに身体があって、顔があって、瞳があって。
でも、一番先に目に入るのはいつだって濃い綺麗な青。
「髪の毛」
「へ?」
「触ってもいいか?」
音無は日向の髪の毛をジッと見つめながら手を伸ばした。
「な、なんだよ急に!!」
「へえ、意外とサラサラしてる」
「ちょっ、お前…まだ俺がいいとも言って…!!」
「お前がダメなんて言うのか?」
「当たり前だっ!!俺がなんでもいいいいなんて言うとでも…「思ってる」」
日向の言葉を遮りながら、その主張をバッサリと切り捨てた。
「だあぁぁぁぁっっ!!お前の中で俺は一体どんな存在なんだぁああっ!!」
「一々騒ぐなよこれくらいの事で」
日向の髪の毛から手を放すと音無は大きな溜息をついた。
「ううぅ…なんか、最近俺に対する扱い酷くね?」
「そうか?」
「そーだよ!!この前だって俺が最後まで大事に取っておいた定食の唐揚げ横から食っちゃうし、人がようやく眠りに就けると思った瞬間にベッドから蹴落とされたし…」
それにそれにと指折り数えながら日向は恨みつらみを挙げている。
「そんなことあったか?」
「覚えてないの!!?」
「ああ」
「そんな馬鹿なっっ!!」
「冗談だよ」
「なっ…!!」
音無はそう言うと、ぐいと日向をこちらに近寄せた。
「お、おい、音無!!か、顔…近すぎだろ!!」
「いいだろ、別に」
「いいとか悪いとか…そうじゃなくてだな…」
「何を今更照れてるんだよ」
「だから音無、そうじゃなくて…」
「へー…じゃあ、嫌なんだ」
「い、嫌だとはまだ一言も言ってないだろ!!」
「ははっ、そうだよな。だって、日向は俺の事大好きだもんな」
「!!」
音無はこれ以上無いくらいの笑みを浮かべると、そのまま日向の唇を強引に奪った。
「っ…ん…」
日向の苦しそうな表情を見ていると、また新たな嗜虐心が沸いて来る。
別に日向で遊んでいるつもりはないのに気付くといつもこうなっている。
どうしてだろう?
――俺だって、お前が思っている以上に日向の事ちゃんと好きなんだけどな。
そんな事をぼんやりと考えながら、音無はいつもよりも長めの接吻をじっくりと味わっていた。
終。
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