Fragile happiness

□日溜まりの中へ【後編】
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《日溜まりの中へ−−後編》





晩冬。
もうすぐ暖かくなるかと思わせつつ、春はまだまだ先のようだった。


(早く暖かくならないかな‥)



それは私の心の中にも言える事だった。



私は、まだ縛られていたのだ。

この「力」に。




――ドンナニ強クナッタッテ

コンナ「力」アッタッテ――





私にとって、「刀」は畏怖の象徴だった。








私は久し振りに真剣を振ろうとして 庭へ出た。



(私が「これ」を振るうのは、土方さんの為。近藤さんの為‥)


そう 決めた筈だ。








と、ふと誰かの話し声が聞こえてきた。


「――‥いやぁ、随分元気になったなぁ」


「えぇ、お陰様で」



近藤さんと、いつかの男のお客さんだった。


「すっかり立ち直りましたよ」





二人の隣に立っていた土方さんの腰元に、小さな影が飛び付くのが見えた。土方さんは「うわっ」と低い声をあげた。


「土方さん土方さん! 私、決めたんです!!」


「な、何をだ?」



えへへ、と笑んだ少女は、数ヶ月前など比べものにならない程活気を取り戻した 「彼女」だった。
見違える程綺麗な瞳を輝かせて。



「私、英国で医療を学んで 医者になります!」








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