05/26の日記

06:35
State of Love B
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──筈だった。


「痛ってぇ──!」


「?」


激しい音と共に痛みを覚悟したナミは、反射的に瞑っていた目を恐る恐る開いた。その瞳に真っ先に飛び込んできたのは、鮮やかな金色だった。
いつの間にか、テーブルの傍らに男が立っている。先程自分達を席に案内したウェイターだった。
すらりとした長身に、金髪碧眼、モデルと肩を並べる程のイケメン顔だ。片目にかかる長めの前髪と顎鬚が、不精さを醸し出している。だが、不衛生さや不快感といったものは感じない。寧ろそのギャップさが、女受けが良さそうだとナミは思った。

連れの男を見ると、右手を抱えてうずくまっている。気付けば、ウェイターの抱えるトレーが歪な方向に曲がっている。どうやら思い切りこれを殴ったらしい。否、故意にぶつけられたとしか考えられないのだが──。


「お客サマ、困りますねぇ。 当店でモメ事を起こされては」


大して困っていないような表情で、金髪のウェイターは飄々と言い放った。
 
 

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