06/02の日記

04:54
State of Love I
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「何よ?」


「もしかしてその携帯全部、男の…」


「そうよ?」


(なるほどね、結構遊んでるわけだ…)


あまり当たっては欲しくなかった答えにサンジは頭を垂れた。
彼女ほどの容姿だ。男の方が放って置く訳がない。


「そーゆーの、あんまり可愛くな──あ゙。」


彼女の顔がみるみる紅潮するのが判った。
後悔先に立たず。気付いた時には既に言葉が出てしまっていた。


「い、いやぁ、怒った顔も素敵──どわっ、」


言葉は最後まで続かなかった。彼女の放った右ストレートに、パイプ椅子のままひっくり返る。


「可愛くなくて悪かったわねっ! 失礼!」


そのままヒョイッとまたいで、荷物を抱えて出て行ってしまった。
あとにはただ呆気に取られたサンジのみが残る。仰向けに倒れたまま、タバコを咥える。


「殴るかね普通、グーで…」


しかし、彼女が怒るのも無理はない。


「おれらしくもねぇ…」

火を点けようとするも、湿気っているのかなかなか点かない。焦れったくなり、箱のままマッチを投げ捨てる。
今まで付き合ってきたどんな女性にも、悪態を吐く事などなかった。否、あってはならない──。
だが、彼女にはそんな事して欲しくないと思った。巧く言葉には出来ないが、彼女には似合わないと思った。


(なんて、逢って間もない女にそこまで肩入れるなんて、おれもまだまだ若いねぇ〜)


暫く感慨に更け入った後、飛び起き上がりざまに器用に机を蹴り飛ばす。


「こんなコトだったらせめて、最後まで携帯番号だけでも聞いとくんだったぜっ! クソったれが!」


State of Love ── 最低最悪。
 
 

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