06/03の日記

06:54
I mean ... @
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「はい、これ。」


店のドアを開けると、入り口に彼女は立っていた。


「……ジョシコーセーだったんだ」


「何よ、文句ある?」


「い、いえ、ありませんが…」


あの日、彼女に出会ったあの夜──一目惚れだった。あんな形で怒らせてしまって、もう二度と彼女とは会うことはない、と憂鬱に何も手につかなかった数日後、彼女はひょっこり店に現れた。わざわざハンカチを返しに来たらしい。
驚いた事がもう一つ。目の前の彼女は、蜜柑色の髪を二つに縛り、制服に身を包んでいた。黒のフォーマルドレスを着こなしていたあの日の彼女は、見た目にも大人っぽさを醸し出していた。てっきり年上だと思っていたのだが、少なくともどうやら年下──女子高生らしい。


「確かに返したわよ。じゃ──」


「ちょ、ちょっと待ってよ、ナミさん!」


多少強引ながら、彼女の腕を掴む。


「あ〜ら、貴方のような失礼なやつにお話する事なんてないことよ!」


こないだの事をよっぽど根に持っているのか、丁寧かつ、皮肉な口調ぶりだ。だが、ここで返してしまっては次はない!
なんとしてでも引き止めようと、あの手この手が頭を駆け巡る。


「あ〜その、先日は大変失礼致しました。 そのお詫びと言ってはなんですが…お茶でも、ど?」
 
 

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