06/05の日記

05:06
I mean ... B
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「…おいしい。」


「お褒めに預かり光栄ですv」


素直に零れた彼女の言葉に、自然と顔が綻ぶ。


「なんで!? ただのホットケーキがなんでこんなに美味しいの!?」


「そりゃあ、仕上げに ”愛” というトビキリのトッピングが──」


「アタシは真面目に聞いてるの!」


「ホントに入ってるのに…」


バターナイフ片手に、凄んで来る彼女も魅力的だと思いつつも、顔には出さずにサンジは静かに答えた。


「混ぜ方だよ。どんなに同じ素材を使って同じ分量で作っても、気温や湿度によっても変わっちまう。素早くムラなく定温でこねないと、本来の味は損なわれちまうのさ」


「へぇ…」


(おれが作ったんだから旨くて当然だけど)


尤もらしい話に合点がいったのか、彼女はミルクたっぷりのアールグレイを啜った。
そうやって頬張る姿は、歳相応にも見えるのだが──


「なんか騙された気分。」


ホットケーキをカットする彼女の手が止まった。
 
 

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