06/22の日記

06:42
It's a wonderful world I
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「久しぶりだなぁ、ナミ」


自宅まで送ると言ったサンジ君とは途中で別れ、私は一人トボトボと歩いていた。
まるでマンガの悪役宛らに現れた男に覚えは無かった。名前を呼ばれなかったら、普通に通り過ぎていただろう。


「……ダレ?」


「本気で言ってるのか!?」


「お生憎サマ。 一見様の顔なんて一々覚えてられません。」


「カバジだっ! 10日も経ってないだろ!」


そー言えばそんなやつ、いたような…いなかったような…。
あ、思い出した。
確か不動産屋の跡取り息子で──


「サンジ君のお店でコテンパンにされたヤツ。」


「貴様ぁ〜!」


どうやらご名答だったらしい。


「で? 何の用?」


「用って程のもんじゃないが…どーやら、あの男とイイ仲のようだな」


「あら? 後をつけるなんてイイ趣味してんじゃない?」


「アイツとはもうヤったのか? お前も色々忙しいなぁ」


ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべ、ベタベタと髪に触れてくる。その手を、勢いよく払い退ける。


「用が無いなら行くわよ!」


その場を去ろうとした私の足を止めたのは、この世で最も聞きたくない男の名前だった。


「まぁ、待てよ。 お前、あのアーロンさんと知り合いらしいな」


「──!」


名前を聞くだけで、憎しみのあまりに虫唾が走る。
 
 

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