book2
□庸伽先生の春休み(500hitキリリク)
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それは、とある日の夜。
「‥っぶぇっくしょん!!
〜〜あぁあ゛!死ぬ!これは死ぬ!」
盛大なクシャミと鼻をすする息遣い、そしておもしろいくらい大きな弱音を吐きながら、庸伽はベッドに腰を降ろして頭を抱えていた。
「大丈夫?薬飲んだ?」
「飲んだけどダメみたい…あー!もう目もカユイ!!」
「んー…どうしたもんだろ…」
この春、庸伽は花粉症デビューをしていた。まだ何の免疫も対策もできていない庸伽は、市販の薬で必死に毎日を暮らしていた。
そんな庸伽の横で、健司はとりあえず励ますことしかできない。
「健司さん、鼻栓してていい?」
「え…うん。それで楽になるならドウゾ」
庸伽は自分の鼻の穴にティッシュを詰め込んで、ベッドに倒れ込む。
「ごれでなんどがねれ゛るがな…?」
「鼻血出した子みたい」
鼻栓をした庸伽の顔をのぞき込みながら、健司はクスクス笑ってしまう。
「くるじいんだから、わらうな゛よ…」
「だってさぁ…」
笑いながら健司は、苦しさのあまりに半開きになっている庸伽の口へキスをする。
「っん゛…ぅ…〜〜ぅっぷぁあ゛!!」
ほんの数秒だけのキスだが、庸伽は顔を真っ赤にして健司を全力で押し返す。
「しぬしぬ死ぬ!!ホント殺す気か!!」
「あ…それじゃぁ息できないか」
鼻栓のまま怒鳴る庸伽を見て、健司はますます笑いが止まらない。
「ぁあ〜…ッ健司も花粉にやられてしまえ」
「アハハっ しばらくはまともにキスもできないねぇ」
そう言いつつも、懲りずに庸伽に迫る健司であった。
【END】