book2

□夜這いして恋
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三丘学園高等学校には特待生向けの学生寮があったりする。
それは学校の敷地内の隅にある建物。
県外からスポーツ推薦などで入学した生徒50名ほどが生活している。

門限はあるものの、学校の中にあることもあり実際の規則はかなり緩い。

これは寮生の中の1人。
テニス部3年の杉原 清美(スギハラキヨミ)が主人公のお話。





「あ〜…マブタが重いよ〜」




部活を終えて寮の部屋へと帰ってきた清美は、制服を脱ぐこともせずにベッドへ突っ伏した。


しばらく寝転がった後、消灯の時間が迫っているのに気づいてダラダラと風呂場へと向かう。






「清美〜早くしないと消灯だぞ〜」

「うん〜」


他の寮生に急かされて、清美は半分寝たまま風呂へ入る。


部屋へ帰ってきた頃には完全に目は閉じていて、髪も乾かさずに眠ってしまった。










「ん……っんぅ〜…んぁあ?」



「…起きたか?杉原…」




真夜中。
ガサゴソと動く気配に目を覚ました清美は、自分のすぐ隣にいる固まりに驚愕する。



「…鈴木先生……っ…!?」


いるはずのない数学担当の鈴木高貴がいたのだった。

「何…ッ…何して‥!?」


「シー…もう消灯してんだぞ?」



清美の体を跨ぐようにしてベッドへ上がり込んできた鈴木は、腕を伸ばして清美の口を左手で塞ぐ。




「杉原が寮から出てこなくって寂しかったんだ」

「だからって忍び込まなくても…」

「嬉しいだろ〜?何日会ってない?」

「部活で忙しかったから…1週間くらい…?」

「10日だよ。長かったんぞ?」




鈴木の登場に驚く反面、案外普通に受け答えをする清美。
言わずもがな、2人は恋人同士なわけで。



「……髪濡れてるぞ?」

「あ〜…風呂入ってそのまま寝ちゃったから…」

「無理するなよ‥いくら特待だからって受験生なんだから……」

「俺はテニスしかできないんだから…別にいいんだよ」



鈴木はそっと清美の頭を撫でる。
日焼けして少し痛んでしまった清美の髪をかき上げて、鈴木は清美へキスをする。



「それで倒れたら意味がないだろ?清美…」

「なんで突然呼び捨てなんだよ…」

「いいから。名前のが恋人っぽいだろ?清美も呼んでよ?」

「……たかき…」


クスクス笑いながら、鈴木は清美の上へ被さる。

「……っ‥するの?」



キスの合間に、小さな声で清美は問いかける。



「嫌?」


「…わざわざ夜這いまでして来られたら断りずらいんですけど……」



清美の髪を撫でながら、高貴は優しく微笑む。



「可愛いなぁ…清美…」


「高3の男子に対して言うことかなソレは?」


「俺から見たら子供だよ」



高貴は清美の首筋へ吸い付いて、舌でペロッと舐める。


「んんっ…くすぐったい…」


「ほら可愛いじゃん」


「なんだよそれぇ…」



高貴から離れようと足に力を入れるが、肩をがっしり捕まえられて身動きがとれない。


「高貴っ……やだよ…」


「あんまり大きな声出しちゃダメだぞ?壁薄いんだろ?寮って…」


暴れようとした清美はムッとした表情で高貴を睨みつける。



「寒いから布団被ってたい…」


「…了解」
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