バサラパーリィ

□空色竹とんぼ
1ページ/2ページ

「ほら弁丸様、出来たよ」
竹を削り形を整え、仕上げに特殊な朱の絵の具を羽根に塗った手作りのおもちゃ。
佐助は目を輝かせている小さな主にそれを差し出す。

わあ、と子供特有の高い声で歓声をあげ、弁丸はまだ柔らかな両手を広げて受け取った。

「さすけ、これは何という道具でどうやって使うのだ?」
「竹とんぼ、っていうオモチャだよ。こうして使うんだ」
興味津々に出来たばかりの玩具を眺める弁丸から、それを借り受けると、くるくると回して手際よく空へと放ってみせる。
「すごい、すごい!!!」
青空に弧を描いて浮かびあがった竹とんぼは、回転しながら静かに弁丸のもとに戻ってきた。
「さ、やってみて。勢いをつけてばっと離すとうまくいくよ」
「うん!」
佐助のやった動作を真似しつつ、弁丸は竹とんぼに集中し始めた。
いかにもほのぼのとした光景。しかし笑んでいる佐助の目の奥は昏い。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ