シンアスのお話
□イエス・ノー
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「シンっ も……疲れ、た……っ」
「――それ、挿れて欲しいってこと?」
「ん……っ」
アスランは頷く。
何でもいいからと、とにかく頷く。
さんざん焦らされ、何度もイかされ、それでもなお灯される欲の炎は、アスランの理性も体力も根こそぎ奪っていた。
アスランの頷きに、やっとシンが応える。
幾度も受け入れていたそこは、シンの欲望をまた易々と受け入れた。熱と質量に反応し、内壁が絡み付く。
下からの突き上げに身体を揺さぶられながら、アスランは思った。
これでやっと眠ることができる、と。
アスランとシンは同棲生活を送っていた。
付き合ってから一年も経ってはいない。しかし、シンが進んで家事をする賜物か、共同生活での問題は何も起こすことなく平穏に過ごしていた。
ただ一つ、毎晩の営みだけがアスランの悩みといえば悩みである。
「いい加減にしろ」
アスランは毎朝、シンの用意した食事を口にしながら文句を垂れる。時にはイスに座れないこともあり、寝台まで朝食を運んでもらうこともある。毎夜の疲労と寝不足に、アスランは怒った。
そんなアスランに、シンはしょげながら謝るものの、顔はいつも緩んでいる。夜になれば、めげずに甘えて擦り寄り、結局は済し崩しになる。そしてまた、アスランが不機嫌な朝が来る。
これが二人の日常だった。
「アスランさん、誕生日おめでとう!」
昨夜、アスランはシンにひたすら前戯を勤しまれた。
正午ぴったりにやっと挿入され、明け方近くまでさんざん啼かされ、疲労困憊しながら意識を手放した。
そうして昼頃に目が覚めたアスランへ、シンがプレゼントを差し出す。
アスランは気怠い身体を叱咤するように上体を起こした。せっかくの誕生日に、寝ているだけではもったいない。
「ありがとう、やけに大きいな?」
アスランは嬉しさに微笑みつつも、差し出されたプレゼントへと不思議そうに首を傾げる。内心楽しみにしていたそれを受け取り、さらに目を丸めた。大きいわりに軽々と持ち上がるそれは、クッションのようなものに近い。
アスランはいそいそと包装を解いた。
「……」
「やっぱりプレゼントは一番欲しいものがいいと思って」
シンはニコニコとアスランを見ている。
「アンタいっつもゆっくり寝たいって言うだろ?」
アスランは現れた枕を凝視していた。
「それにこれなら、照れ屋のアンタでもヤっていいときカンタンに誘え、うぐっ」
シンが言い終わる前に、顔面へと枕が叩き付けられる。
それは、片面にYES。もう片面にはNOと書かれた枕だった。