シンアスのお話

□妄想少年
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● 妄想少年 ●






 休日の朝。
 オレは先に目が覚めた。
「ん〜……」
 寝ぼけた頭で身体を起こし、ひとつ欠伸をして背筋を伸ばす。
「……」
 隣りに眠るアスランさんを見て、つい満ち足りた笑みを浮かべてしまう。ベッドから足を下ろして、床に散らばる服を掴み取る。

「……あー」
 しまった。
 昨夜のオレは、しばらく服を着たまま、アスランさんだけを剥いて啼かせまくっていたのだ。おかげでオレの服は汗やらナニやらでデロデロだった。
 諦めて裸のまま立ち上がることにする。勝手知ったるアスランさんの部屋を縦断し、クローゼットへと向かった。
「なんか着るもん〜」
 中を漁るとどういうセンスかわからない服やグラサンが落ちる。が、見なかったことにする。
 手頃なTシャツと短パンを見つけて引っ張り出した。
 それらを掴んでシャワールームへと入る。
 裸のままだから立ち止まる必要もない。オレは中へと入ってパネルを押した。少しぬるめに設定したシャワーを浴び、洗い流されて心地よい感覚に目を伏せた。




 さっぱりとしたオレは引っ張り出してきた短パンに足を通す。
 そしてTシャツを着て気がついた。
「ん?」
 このTシャツが、やたらとぶかぶかなことに。
 肘まで袖があるし、鎖骨が余裕で出る。それどころか裾が長い。試しに掴んで引っ張ってみると、ワンピースなスカートのように長かった。短パンがほとんど隠れて見えない。
「え」
 驚いて目の前の鏡を見る。彼氏の服を上だけ借りて着たどこか狙ってる彼女……というより親の服を間違えて着た子ども、という感じのヤツがいた。もちろんオレだ。
「えぇ!?」
 のけ反ってもう一度自分の身体を見下ろす。グルグルと思考を巡らせた。

   アスランさんってこんなデカかったっけ!?
   まさか着痩せするタイプ?
   いやいやまてまて、オレは身体のすみずみまで知ってんだ。こんなに体格差ねぇっての。

 巡らせた上にハッと気付く。

   え、じゃあつまりこれって誰のTシャツなわけ?
   アスランさんのクローゼットにあったわけだけど、アスランさんのサイズじゃない。
   ってことは、つまり?


「……ほかに男が、とか?」
 オレは愕然とした。
 そんなバカな。

 そのまま立ちすくんで考えた。

   そりゃ、アスランさんはモテる。男女問わず狙ってるヤツが多いのは知ってる。そして押しに弱い。オレは押しまくったおかげて恋人になれた。
   けど、だからって浮気とかそういうことはしないだろう。いくら流されやすくたって、不誠実なのは嫌いなハズだ。

 しかし、ふと思う。

   …でも、身体はかなりエロいからな。
   最初は抵抗したけど、今はカタチだけで本気で拒まれることなんてありえない。むしろ積極的なことも多くて……



   まさか、迫られてなし崩し的に発展、とか?





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