紅き狼

□説明 1
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「あ、シグ。おかえり〜久しぶりじゃん」
 
悠奈が呑気に言葉を掛ける中、炯夜の表情は、驚きのあまりしばらく固まっていたが、慌てて身を乗り出し、ビシッと指差す。
 
「お、おぉお前ぇ!!俺をここに連れて来ておいて、一体どこに行ってたんだよ!?」
 
「あ?ガキにゃ関係ねぇよ」
 
当然とばかりにシグルドにさらりと返され、炯夜は何故こうも自分ばかりが焦っているのかと思い馬鹿らしくなり、乗り出していた身をソファに沈めた。
溜め息を吐き、紅茶を一口飲み落ち着ける。
 
そんな様子を見ていた悠奈は、二人を交互に見やる。
 
「なんだ、二人とも知り合いだったの?」
 
「あいつが俺をここ連れて来たの。学校に乗り込んで来てさ」
 
ふぅん、と悠奈が納得したのか相槌を打つ。
アクトはと言うと、驚く事もなく、ただ微笑んでいた。
 
「アクトは驚かないんだ?」
 
悠奈が、いつも通りの反応を示すアクトに尋ねる。
 
「えぇ、まぁ…」
 
言葉を濁し、苦笑しながら返すアクトに、炯夜はもしやと思う。
 
「もしかして…俺がここに来る事を知っていた?」
 
独り言の様に呟かれた言葉に、悠奈が食い付いて来た。
 
「あ"ぁー!?お前らグルだったなぁ!?しかも、仲間のオレに何も言わないで!!」
 
くっそー!!と悠奈が悔しがり地団駄を踏んでいた。
 
 
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