過去に見た夢。

□My happiness
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いつものコース
いつものロードワーク

ジムとバイト、それが今の生活の全て。






ザッ 、ザッ…

昨日までとは違う、同じ風景を走っているのに。

視線の、ずっと先の方で小さく目に入ったもの、
それに心が揺れた。






はじめは見間違いかと思った。
(いや、オレがお前を見間違えるはずなどない。)

どんどん、距離は縮まる。

このまま黙ってすれ違おうか…


だが、

「元気?」

その声に、足が止まった。



「どうして、ここにいる?」

お前には黙っていたのに。

「運命!」

笑って言ったお前の手には、小さな鞄。

追いかけてきたのか?


「誰に聞いた?」

「ん?誰でしょう?」

そう言っていたずらっぽく笑った顔は、
数週間見ていなかっただけなのにひどく懐かしく思えた。


「ひどいよ、黙っていなくなるなんて」

「………」

「なんで、何も言ってくれなかったの?」

「オレといても、幸せにはなれねーだろーが」


「そんなこと心配してもらわなくても、自分の幸せくらい、自分で決めるわよ」


「………」

「言っとくけど、帰れって言われても帰らないよ」

「………」

「絶対一緒にいるんだから」

フッ

「言い出したら聞かねーのは相変わらずだな」

そう言って、手に持っていた鞄を取り上げ歩き出す。


「部屋、狭いぞ」

「うん」

「金もないからな」

「うん」

「バカだなお前」

「うん」




「で、誰に聞いたんだ?」

「“村田十三”」

「どうやって?」

絶対に言うなと、口止めしておいたんだ。


「泣き落とした」

にっと笑ったその顔を見て、ああ、コイツにはかなわねーな…そう思った。






いつものコース
いつものロードワーク


夢とお前、
それが今のオレの全て。







End.

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