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□バブ
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バブ30妄想派生


陣野の拳が風を切る音がして、神崎は右目に重い衝撃を感じると共に体が左後方に飛ばされるのがわかった。
「ぐっっ!」
側方の芝生に殴り飛ばされた神崎は体を丸め幾分の衝撃は緩和したものの、脇腹を縁石で打ったことにより強く咳込む。
「カハッ!−ハッ、ゲホ、」
激しいその音に、懲りずに陣野に攻撃しようとしていた姫川、神崎を殴り飛ばした陣野、傍観していた東条は目を向ける。
「神崎っ」
「ちょっと力強すぎたんじゃねぇのか、かおる」
「あいつが弱いだけだ…」
『…!!?』
三人は驚いた。
芝生に半ば伏せるように咳込む神崎の足がぼんやりとした明かりに浮かされており、その様がとてつもない淫靡さを醸し出していたからだ。
膝小僧の見える丈のショーツが膝を立てられることによりめくれ、大腿の半分程までが明かりに照らされることとなっている。また、咳込んだことにより赤らみ顔面と水の張る目が青白く浮かぶ足とのギャップとなり一層の背徳感をさらけ出すのであった。
「ケホ…、っ、」
『!!』
ぜいぜいと喉を鳴らし、芝生に突っ伏す神崎の耳たぶの赤さと首筋に浮かぶ汗が見て取れ、三人は一瞬、普段ならば結び付かない考えと結び付いてしまい、その考えに至らしてしまった自分に驚いた。
いやいやそんなことないよねいやまさか、と自問自答すをする三人に気づく由もない神崎は呼吸が落ち着きはじめ、周りの静かさに疑問を感じる。
「…?姫川?」
まさか気を失う程にやられたのではないかと名を掠れた声で呼びながら神崎は共同戦線をはっていた姫川を捜す。
すると棒立ちの姫川、陣野、東条が自分を凝視しているという異様な状況が目に入る。
「………」
凝視しておきながらも虚ろさを漂わす目に神崎は寒気が走るのがわかった。なんかこいつらやばい、と普段働かない第六感が働いているように思えるほどの寒気だ。
とりあえずこの状況を打破するには自分が行動を起こすしかないと一瞬にして悟った神崎は立ち上がろうと体を動かす。
立てていた膝を倒し、俯せの状態から腕をはり腰を上げ、四つ這いを経由し片膝を立てて勢い付けて立ち上がる。
姫川、東条の二人は途中の四つ這いに要らぬ考えが浮かび気を遠くしたが、陣野は神崎が立ち上がったという実際と自分と東条(姫川もだが)を蝕む考えに終止符を打つ為にこの場を去ることを即決し行動へと移す。
「虎!早く行くぞ!」
「−お、おう」
踵を返し、神崎らから背を向ける陣野に東条ははっとしてその背を追う。
「ちょっ、待てよテメェ!」
「それだけやられたんだ、力の差はよくわかっただろ」
引き止めようとするも体が痛む神崎を陣野は一見したもののその言葉だけを残して去っていった。
二人が去ると怒りから肩を震わせた神崎は苛立ちから地面を蹴り、また姫川も力の至らなさと脳裏を掠めた考えを廃除しようと頭を捻る、そんな周囲から見ては珍妙極まりない二人が残されのだった。


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