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□バブ
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しりたい
おもしろいことが好きでつまらないことは好きじゃない。
ココにしようって思ったのは、ココが一番おもしろそうだったから。
でも俺がそう思うずっと前から城ちゃんはココって決めてた。
何が決め手だったんだろーか。
「神崎くんのどこがいいの?」
退院間近、少ない荷物をまとめる横から聞けばそうだなと手は動かしながら答えがかえる。
「尊敬してるからな。」
「ふーん?いまいちわかんないけど、好きなんだ」
全く神崎くんに尊敬するようなトコが見当たらないからよくわかんない。
「好きとはまた違うんだが、」
「もっとわかんねぇよソレ」
「尊敬…敬愛?」
「愛入ってんじゃん。じゃあ好きでしょ」
畳み掛けるように言っても返事はとっても曖昧。
なんか違うんだと言うから今度ググってみるって伝える。好きと愛との違いってどういうワードで検索すりゃいいんだろう。
「みてれば、一緒にいれば見えてくると思う、ぞ。」
「なにその尻切れ〜」
しぶそうに、でも嬉しそうに言う城ちゃんの顔がすっげぇ笑えて吹き出す。
「ブワッ!、あーすげぇ顔だあーはっは」
「…笑うな」
「うわーっっこえぇ面ーっ」
腹をかかえて笑ってたら廊下から看護婦さんにうるさいって怒られた。
溜息をつきながら鞄のファスナーを閉める城ちゃんの横で寝転がってひぃひぃ息を落ち着かせるけどあの顔みて笑うなってほうがムリ。ほんと普段無表情でこわもてなのになんで神崎くん関わるとこんなへたれた顔になんだよ、ほんっとウケる。
「じゃあさ、イッコ教えてよ」
「?」
「神崎くんのイイトコ」
にこにこしながら言ったら少し驚いた顔して、
「自分で探してみろ」
にやっとした顔で言った。
悪いかおをしたとこなんてめったに見れるもんじゃない、初めてかもしれないそのかおに少しドキッとする。
ときめきとか惚れた腫れたとかじゃなくて、楽しいことの前の高揚。
あとすこしの高校生活だけど楽しめそうな気がしてくる。
「うん、じゃー俺もイイトコ探しするかなぁ」
「…神崎さんに迷惑かけるなよ」
「なにそれ俺が迷惑かける前提みたいなの」
「………べつに」
「ちょっと、目逸らさなくてもいいじゃんもー!いいよ、なんか見つけたら教えてあげっから」
「押し付けがましいな」
「こんな時だけ返事早いね!」
*おまけ*
「何してんだおまえ」
「…入りづらくて?」
「ふうん、まぁ先入ってやるよ」
「おぅ」
おわり。
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リハビリから帰ってきたら室内でなんか盛り上がってて、入口横でどうしようとなるおわりかた(説明すんなよ)。