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□いちまん
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神様にお祈りをしましょう。
そう言った先生を馬鹿にしつつも信じたふりをして手を合わせる傍目に素直でかわいらしい幼稚園児が夏目だった。
そんな彼は今何を願うだろう。


「っ…ぐ、」
後孔はねっとりと時間をかけほぐされたが本来排泄器官であるので圧迫感は半端なく、神崎は呻き声をあげる。
もし夏目のものが一般より小さかったならこんなにも苦しまずに済んだろう。しかしそれは、便所でみた時一般サイズ以上だと思える程だったのでそんな願いは到底叶わないだろうと神崎は考えた。
「きっ、ついねぇ…、」
「喋る、な゛」
発される声による振動でさえ身体に響き、否と訴えるそれは嗄れた響きで鼓膜を震わせる。
神崎の、身長の割に細い腰を支えた手が汗ばみ滑りそうなのに手先は冷たく気持ちが悪い。中は熱くてたまらないのに差が激しすぎると夏目は思った。
「…っ、ぐ、」
息苦しさに神崎は渇いた喉を締めるよう唾を飲み込むがそれさえ全身に響いてしまう。冷汗が身体を包みこみ体表から深部へと全ての体温が奪われるような錯覚−−しかしその時、じんわりと奥が、頭の芯が熱く思考がぼやける。
知った感覚だがあまりに状況が違い、一瞬、いやそれよりも倍、理解するのに時間がかかったが納得するのは早かった。
「…お前、何仕込んだ」
確信を持った目で睨み、熱い息を吐きながら問えばちょっと間を置き夏目は笑顔になる。
「遅発性のやつを、ね。あんまり時間かかっから効かなかったのかと思っちゃった」
「てめぇ、−っ」
挿入の前から手錠を外されていた手をシーツから腰に添えられた手へとのばすも捕まれ甲をゆっくり撫でられる。
それだけで感じ始めた自分が信じられない神崎は目を開き夏目を戸惑いの色で見る。
「大丈夫、純正なやつだから後遺症はないよ」
「な、にが大丈夫…っっ?!」
ちゅ、と抱えた脚にキスを落としたと思えば半分程を抜き、急な動きに排泄感と感じるはずのない快楽がキて神崎は戸惑いを隠せない。そんな心境を知っているだろう夏目はニコリと笑いながらゆっくり円を描くよう中で動かし反応を楽しみ、神崎は嫌悪に身体を震わすも内壁が緩み始める。
「あ、いやだ、夏目」
自分の身体なのに意識とは乖離したものとなっていくのがゆっくり動かされる為にわかり全てが怖いと感じた。
横にあったクッションを握り締め、涙の張った目で夏目をみる。
「やめ…、ほんと止まって」
「なにがいやなの?前も反応してきてるのに」
「ぃっ!」
ぎゅうと前を握られ痛みに全身が強張り涙がぶわりと溢れる。
しかしもろともせず夏目は腰を進めた。引き攣った声が上がるが荒い呼吸が被り、双方から汗が滴った。



どれだけだろう、時間が進み神崎は唯一アイデンティティを保つ術であった理性を手放し快楽に飲まれ、夏目は興奮に飲まれた。
普段客観性を持ち全てを見れるのに彼の認知はずくずくと歪む。歪めば歪む程に夏目には神崎が魅力的に映る。神崎は強すぎる情報(それはとてつもなく屈辱的で甘美で人を破綻させるものである)に飲まれながらこの時の終焉を願うが、何より神崎の表情、声が夏目を歪ませこの非生産的行為を続かせるのだがそれは誰が知るのだろう。

ただ、結果的に一連の行為は夏目の被虐心、いや征服欲に点火をするのには十分なものだった。

-End-
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