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蝶よ花よ
(神崎組)

「パンジーか」
見るからに不良という顔をした三人組の中で見合わぬかわいらしい名詞を口にしたのは神崎だった。
彼は幼い頃に華を習わされていた一時期があったので多少の名、一般的ではあるものの、を口にすることができた。花の季節や流儀に沿った生け方を知る前に彼の興味は男児らしいものに移った為詳しい名前やらは知らないのだった。
「枯れないの?まだ寒いじゃん」
三人の中で花を知っていたとこで詐欺ったらしくしかならない男、こと夏目が尋ねる。
これは基本的に楽しむ嗜好であるので、不良が花の名を知っていたとこでガキたらしく笑ったりしない。腹のうちはいまだに知れないが、夏目のこういった点は好ましいと口数少ない城山は思った。
「ああ…もう二月後半だから大丈夫だろ。パンジー強ぇし」
道端の区画に植えられた花を若干だが普段よりけだるさのない視線でみやる。
「強いんだ」
「ひまわりの方が強ぇと思うけど…」
まぁ夏だからな。そう言い切れば神崎は視線を前方に戻していつもの歩隔で歩き出す。
花が好きな不良もいいじゃんねぇと夏目は城山に耳打ちした。

おわり。

(お礼文一種)



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