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□ループ
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ついさっきシャワーを浴びてもう寝るつもりだった。



「く゛ぁっ!!」


予定では今頃はベッドの中で寝てた。


のに‥


何度も殴られたので

足がたたなくなってフラフラしていた。


「く、そ、いい加減に‥」


言い終わる前に膝で腹を蹴られた。

「がっ」


口を切って血がでた。


「う゛ぉ"ぉ"ぉ"い」

俺を殴る相手は顔色一つ変えず何も言わない。


答えだと言わんばかりに、

平手打ちをされてついに床に倒れた。



「くそ、痛ぇ」


「痛くなるように殴ったからな」


ボスが何でも無いように涼しそうに言う。




変わりばえしない会話のループ



「出ていけ」

「言われなくても出ていくぜぇ」

これもいつも通り。


俺はそのまま執務室のドアを開けて部屋に帰る。


疲れた。

ボスが俺を殴る理由は未だに解明されていない。



オカマが言うには愛ゆえだとか寝ぼけた事を言っていた。


それならマシな方法が幾つもあるだろうと返したら


それもそうだと苦笑いされた。




‥ループ‥




ボスには何人もの愛人がいる。




数えた事は無いけど


多分、8人ほどは絶対にいるだろう。

ツワモノの5人固定で3人はとっかえひっかえ。ってとこだろう




わかんねぇけど。



運が悪かったら

ボスに言い寄っている女の声を聞く。

私だけを見てよ!!だとか、

愛してるって言ったじゃない!!とかだ。



まぁ、そんな事を甘やかされた


坊ちゃんに言っても変わらないのは確かなのに


女達はめげずに言ってた。


そんな事を言う俺も変わらないけども。






事実、


今は事後ってやつで


ボスとベッドの上


「ぼす。」


まぁ、俺もそんな愛人の一人という事だ。


でも、言葉も何も求めないから



多分一番扱いやすい。と、俺は思ってる。



「あ?」


他の愛人と変わると言えば、



ボスにとっては殴れて(ポイント)


いつでも呼べて、

甘い文句もいらなくて楽


と言う事。




でも俺はきっと無言でボスが愛人達に使う甘い文句を求めてて


自分も泣き叫んでる愛人達と変わらないんだと自覚してため息をついた。





「なんもねぇ」



求めてもどうせくれないし、


笑われるだけだろうし。


ありえねえし。



そう思って自分の髪を軽く梳いてみた。



「はっなら呼ぶな」



そう言って背を向けて


ボスは寝てしまった。
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