猫のシッポ

□猫と白衣と独占欲と
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「玉ちゃんってさ、医学部なんだよね?」

ある午後の昼下がり。

ソファに座った私の膝に頭を載せて雑誌を読んでる玉ちゃん。

「ああ」

雑誌に向けた目を離さないまま面倒臭そうに答えをくれる。

さっきから熱心に読んでる雑誌は、何たらサイエンスとかいう難しそうな名前を表紙に掲げてて、見出しには「人体の不思議」とか「ガン細胞の脅威」とか書かれてる。

「医学部っていったら、やっぱ白衣とか持ってるよね?」

「そりゃな」

「あのさ、玉ちゃん」

「あー?」

「白衣、貸して欲しいんだけど」

「は?」

雑誌を下ろして見上げてくる玉ちゃん。

訝しそうに眉を寄せて。

「何で?」

重低音・・・って、いきなり何でそんなお怒りモードなの!?

こ、ここで怯んでちゃダメだ!

「え、や、大学祭で模擬店やるんだけど、テーマが病院なの。だから・・・」

大学祭は5月に行われる。

そこで、去年一年間同じ英語のクラスだった子たちと模擬店しようってことになって。

だけど、何で玉ちゃんの顔はこんなに険しいんでしょーか。

「ふぅん」

って、それだけ!?

もう話は終わり、みたいに玉ちゃんは降ろしてた雑誌を持ち上げて、遮るみたいに顔を隠した。

「あの、玉ちゃん?」

「ダメ」

「な、何で!?」

「俺のじゃ大きいから」

当然の如く却下する玉ちゃん。

何か、機嫌悪い?

「大きくてもいいから!ね、玉ちゃん、貸してよ」

雑誌の上をちょっとずらして玉ちゃんの顔を覗き込む。

うわー、玉ちゃんそんなウザそうな顔しなくても良くない?

「ダメだ」

取り付く島もない。

「ちぇー。ならいいもん」

当ては玉ちゃん以外にもいるんだから!

そう思ってたらバサって玉ちゃんが雑誌を下げた。

じっと見上げてくる視線。

し、心臓がっ。

いきなりそんな目で見るのは反則でしょ!?

「可愛くないのな」

ぼそって玉ちゃんが呟く。

は?可愛くない?

んなの今更言われなくても、ずっと前から知ってるよっ!

「玉ちゃん?」

「ちゃんとお願いしてみ?」

・・・・・・・・・は?

「たた、玉ちゃん?」

ごろんって玉ちゃんが体勢を私の方に向けてくる。

膝に載った頭がこっちを向いて。

いつもとは違う見上げられる視線に胸が早鐘を鳴らす。

「お願い、してみろよ」

そしたら考えてやる、って何の譲歩ですか!?

「ちょっ、たたた、玉ちゃっ!?」

腰に手を回されて、何がどうなってんの!?って思ってるうちにシャツに手を入れられて、直に肌を触られる。

「っ!玉ちゃんっ・・・何っ!?」

まだ昼っ!

外明るいしっ!

「お願い、は?」

背骨を一つ一つなぞり上げられて。

生まれる快感に、身体が震える。

「ひゃっ・・・!ちょっ・・・待ってっ」

待って待って待って。

「待たない。貸して欲しいんだろ?お願いしろよ」

何でそんな楽しそうなの!?

見上げてくる玉ちゃんの目が情事の時のそれで、一気に身体が熱くなる。

もう、頭なんて働いてない。

「んっ・・・玉ちゃ・・・っ」

「お願いする時は智久だろ?」

ドクンって一気に熱が上がる。

声が。

視線が。

指が。

快感が身体を走る。

突き抜けて、玉ちゃんだけを欲しがる。

「とも・・・っ智久っ・・・あっ、待って・・・っ」

「待たない」

シャツをめくられ、下腹部についばむようなキスをされる。

おへそをいたぶる様に舐められて、身体が勝手に追い立てられていく。
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