青春ララバイ
□【No,6】
1ページ/14ページ
「えーっ!?知らないの?」
金田は雑誌を開くと、
ページの一ヶ所を指さし
「これだよ!これ!」と、
言う。
「うん・・・初耳だよ?」
昼休み。
莉菜と金田は、それぞれの
お弁当箱を空にすると、
金田が、持って来た雑誌を
広げ、それを二人でパラパラと
眺めていた。
「驚いたぁー。莉菜のような
恋する乙女≠ヘ、
ちゃんと知ってないと・・・!」
_________恋する乙女って・・・
金田が言うのは、
パラダイスランド≠ニ、言う
遊園地にある観覧車のこと。
その観覧車に、カップルで乗り
頂上についたときに、
告白だかキスをすると、そのカップルには、永遠の愛が約束されると言う。
いわば、
おまじないや言い伝え。
みたいなものだ。
「でも、これ本当なの・・・?」
莉菜は、雑誌を見つめ
眉間に皺を寄せた。
(手塚の様に)
金田が今朝、コンビニで買った
この雑誌に、パラダイスランドの特集が
載っている。
カップルにおススメ≠ニ、
書かれ、観覧車の写真と
先程、金田が話していた
カップルで乗って、頂上に着いたら〜・・・
の、伝説も書いてある。
「さぁ〜・・・?せっかくだからさ、莉菜。試してきなよ!
頂上ついたら、チュってしてさ・・・!
で、私に報告してよ!」
「・・・金田?
私を実験台にするの?」
「やだなぁー!実験台≠ネんて・・・
私が言いたいのはねぇー・・・」
金田は、机から身を乗り出し
雑誌のページをパラパラと、
めくっている親友を、睨むように
見つめた。
「ちょ・・・、嫌だ。
何よぉー?怖い顔して・・・」
「手塚先輩のことが好きなら、
デートくらいしなさいって言いたいの!」
「ででで、デートって・・・
だって、私たち付き合ってないもん!」
「でも、仲良いじゃん。
勉強見てもらったり、メールや電話したり、一緒に帰ったりさぁー。」
「だって、それはー・・・ホラ、
いとこ同士だから・・・。」
「だったら、尚更いいじゃん!
二人で遊園地でも行って、
楽しんで来ればさ!ね?」
「・・・・・。」
莉菜は、パラダイスランドの
特集が載っているページを、
じっと見つめた。
________ダメ。かなぁ・・・
あの手塚が、遊園地にいる光景は
どうも想像がつかない。
________でも、
ご褒美≠フ件が、
あるではないか。
確かに手塚は、
何でもいいと言ってくれた。
莉菜は、雑誌をパタンと閉じ
金田へと、視線を戻した。
「私・・・。ダメもとで、
誘ってみようかな。」
「うん!そーだよ!頑張れ!・・・で、
観覧車の件は、後でちゃんと
報告してね。」
「・・・やっぱ、私。
実験台じゃん!」