ロンドンの恋人たち
□First season【T】
1ページ/24ページ
First season T
A miracle happen
ヨーロッパへの高校留学なら、
絶対に何がなんでも、
イギリスの・・・ロンドンがいいと思っていた。
ロンドンには【何か】が、あると感じたから。
そして、
あの人が住んでいる国だから・・・・。
Tom,Felton
私にとってトムは、ただの【憧れ】
なんかじゃない。
もっと、
それ以上の・・・・・
----------------------
成田空港から、ヒースロー空港へは、10時間ちょっと。
海外へは何度か旅行したけど、
たった一人は、初めて。
たった一人の飛行機も、
たった一人の長期滞在も、
たった一人のイギリスも。
もう、間もなくイギリスに到着する。
私は、
【とっさのひとこと英会話】を、カバンから引っ張り出して、ページをめくった。
ついこの間、買ったばかりの本なのに、何度も何度も、ページをめくりすぎたせいで、ボロボロになりつつある。
この留学のために、
新調したレスポのカバンには、
ボロボロになっているこの本と、
電子辞書。
スケッチブックと鉛筆。
預けたスーツケースには、
ハリーポッターシリーズの小説。
少し・・・・、
かなり重たいけど、
これがみんな、私の必要不可欠アイテム。
覚えていたのは、
この飛行機のエコノミークラスのシートが、座り心地悪すぎて、
背中と腰が痛くなったことだけ。
機内食で出た、
チキンがおいしいか、
まずかったか、とか、
映画の内容が、
おもしろかったとか、
つまんなかったとか、
そんなことこれぽっちも、
覚えてない。
ロンドンでの3年間の高校生活のこととか、
ハリポタのこととか、
ステイ先のホストファミリーのこととか・・・・、
それと、
トムのこと。
日本にいる時から、
密かに願ってたりした。
テレビの画面からじゃなくて、
この目だけで、
彼を一目見れたら・・・・と。