よみきり番外編&短編集


Love in Love
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僕より年上の____と、言っても2歳しか変わらないけど
トムは、それなりに恋愛をしていた。

だけど、その恋がうまくいかなくなって別れてしまった・・・と、言う話を
僕は知っている。

僕らは、映画のなかから考えてみれば誰もが驚くだろうけど
親友なのだ。
まるで「ハリー,ポッター」の映画の撮影の前からずっと、
お互いを知っていたように思えるくらいだ。
(まぁ、トム自身はどう思ってるんだかわからないけどね。
そこは置いておこうじゃないか・・・。)

無駄に背が高いからだけじゃなく、彼は完全に大人の男。
だけど、どうやら恋愛が苦手だったらしい。

『何か・・・違うんだ。何かが・・・。』

恋人と別れると、トムはそう言っていた。
そんなトムが、しばらくして・・・その恋人のことも完全に話題のなかから消えた頃
恋人ができたんだ。と、僕に笑顔で報告した。

なんでも、留学に来てるニホン人だって・・・。
それからのトムと言ったら、もう・・・
彼女の話をするときは、デレデレした顔をするし、自分でも
「彼女はとにかく可愛くて、僕はメロメロなんだ・・・!」なんて、言う始末。

きっと、トムは恋愛が苦手って言うわけじゃなかったのかもしれない。
彼は「何かが違う」と、言っていた。
そう・・・僕が思うに、トムはやっとめぐり逢えたんだと思う。
“運命の相手”とも言える彼女に・・・。

だからだ。あんなに幸せそうな顔をして、イキイキと輝いてるのは_______

まぁ、そんなこんなで・・・

撮影がそこまでハードではない日は、僕の楽屋でエマとルパートと
バカ騒ぎして盛りあがることが当たり前になっていた。
そう言えば、トムはまだ来ないのかと思った矢先「Dan?」と、ノックの音と共に
本人のご登場。

あのとき、ドアが開いた瞬間、僕はたちまち間抜け面になっていたはずだろう。







「トム。もしかして、そのコ・・・、」







隣に立っているのは、ニホン人であろう女の子の姿。
トムの隣にいると、彼女がとても小さく見えた。
長めのまっすぐサラサラとした黒髪。
どこか、あどけなさがある表情。
(あとで聞いた話だと、彼女は僕と同じ歳だったらしけど。)

トムは、彼女を抱き寄せるように肩に手を置き、笑顔でうなずく。
そして、「She is my lover」と、言ったんだ。







「Oh! soo cute!」







トムの恋人に直接お目にかかり、僕の口から出た言葉はこれだ。
ためらいがちに笑う顔、透き通るような肌、少し厚めの唇、長いまつ毛。
長い髪を耳元にかける仕草_________

彼女がニホン人だからかもしれないけど、よく目にするような女の子ではなかった。
どこか奥に輝く美しさを隠しているような・・・そんな感じ。

トムが彼女にメロメロになってしまうのも、無理はないなとわかる。
それから、僕にとっては厄介なことが起こった。

たとえば、彼女から漂うお風呂あがりのような
淡く甘い香りを、トムは直接彼女を抱きしめながら嗅いでいるんだろうな。とか

たとえば、熟されたさくらんぼのような赤い唇に
トムは何回キスしたんだろうな。とか

たとえば、ふたりはもうセックスしたのだろうか。とか

もし、既に済んでいたとしたら
どんな風にセックスするんだろう。とか・・・

あげたらキリがないほど、僕はとても厄介で不健全な考えを抱いてしまうのだ。
そんなことを考えているうちに、自分がトムと代わってみたいと思ってしまうから
余計に手に負えなくて困る。

わかっているさ。
親友の恋人に恋心を抱いてしまうなんて、そんなのフェアじゃない。

だから、僕はそんな思い隠し続けてやるんだ。
トムもだけど、彼女も大事な友人のひとりなんだ、と___________。




++END++

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